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「今も身近にある結核~基本事項の確認とその対応~」

2017年07月09日(日) 院長ブログ

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先日、名賀医師会臨床懇話会が開催されました。演題は「今も身近にある結核~基本事項の確認とその対応~」で講師は名張市立病院感染症科医長今井雄一郎先生でした。今井雄一郎先生は小児科専門医ですが、感染症科も専門とされ、小児科、感染症内科の両方の診療に当たっておられるようです。

今井雄一郎先生によりますと、結核は明治時代から昭和20年代までは「亡国病」と恐れられていた疾患でした。しかしながら今日では生活水準の向上に加え、医療の進歩により治療可能となり、その当時よりは大幅に死亡者数も減少しました。このため結核は過去の病気というイメージもあります。しかし、現在でも日本では年間18000人が新たに結核発症しており、2000人が亡くなっているそうです。世界で見れば、毎年150万人が結核で亡くなっているそうです。また日本全国で集団感染も多発しており、結核は紛れもなく現代の病気であるということです。かつては、結核は青年の病気であったそうです。正岡子規、石川啄木、滝廉太郎、樋口一葉らの明治時代の文豪も、みんな若くして結核で亡くなっているそうです。最近でもタレントのハリセンボン箕輪はるかさんとテレビスタッフ2名が結核に感染したことや、2016年には警視庁渋谷署の19人が結核集団感染を起こした事例、そして数々の老人福祉施設などにおける結核集団感染事例が報告されています。これを聞くと決して過去の病気とは言えないですね。9月24日から9月30日までは結核予防週間とされ、ポスターなどによる啓発も行われているそうです。

結核は結核菌による慢性感染症であり、約8割は肺結核であるそうです。しかしながら肺以外の臓器が冒されることもあり、全身全ての臓器が結核を発症し得るそうで、肺外結核と呼ぶそうです。非結核性抗酸菌が人から人へと感染しないのに対して、結核は人から人へと感染するのが特徴であるそうです。結核菌はドイツ人のロベルト・コッホが発見したそうで、結核菌の大きさはおよそ1~4μm、分裂は15~24時間に1回で、細菌の60分の1であるそうです。結核は感染しても、必ずしも発病するわけではないそうです。このあたりは理解の難しいところですね。発病は感染した後で結核菌が増殖し、症状が進むと結核菌を咳や痰とともに排出する(排菌)ようになるそうです。結核は麻疹、水痘などとともに、咳やくしゃみの時の飛沫(しぶき)に含まれる菌が空気中に飛び散り、それを他の人が吸い込むことにより感染を起こす(空気感染)感染症です。

世界的に見れば、都市への人口集中などにより結核の爆発的流行なども起こっているそうです。世界における結核の2大問題点はHIVと結核の二重感染と薬剤耐性結核であるそうです。1970年代まで減少していた結核患者数は1980年代が増加に転じ、1993年にWHOが全世界における結核非常事態宣言を発表しました。南アフリカのスワジランドという国では成人の26%がHIV陽性で、結核罹患率も非常に高く二重感染も多くて、同国の平均寿命がこの20年で60歳から31歳へと半減してしまったそうです。日本の結核罹患率は欧米先進国に比べるとまだまだ高く、世界の中では日本は依然として「中蔓延国」であるそうです。日本では地域差があり、大都市に多く、西高東低の傾向があるそうです。

結核の治療は多剤併用療法ですが、治療期間は6ヶ月から9ヶ月くらいかかるそうで、何よりも内服をきちんと継続することが重要であるそうです。治療が完遂されずに途中でやめてしまうと耐性結核菌の出現を招いてしまうそうです。レボフロキサシン投与により、結核の診断治療を遅らせてしまう場合もあるそうで、診断がついてないうちから安易なレボフロキサシン投与は避けるべきであるということでした。

初期症状はカゼのような症状で、2週間以上咳、痰、微熱が続くこと、意図しない体重減少、寝汗などがあれば、診療の場において結核を念頭に置くことが重要であるということでした。今井雄一郎先生によりますと、結核は肺外結核も含めてどの診療科を受診される場合もあり得るので、注意を要するということでした。

結核は過去の病気ではなく現代の病気であるという認識をまず持つことが重要ですね。


 
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