先日のWebセミナーの講演2は「運動器検診の現況と事後措置」で、講師は日本臨床整形外科学会副理事長あらい整形外科院長新井貞男先生でした。 学校検診において運動器検診が2016年から必須化され、対象は小学校1年生から高校3年生の全学年です。内科検診に付随して従来から実施されている脊柱側弯症とは別に四肢の状態のチェックも加わりました。 新井貞男先生によりますと、運動器検診が始まったきっかけとして最近の子どもの体格は非常に良くなっているが運動機能が低下しているというデータがあるそうです。また子どもの骨折率は増加しているそうで、中・高校生の骨折率は1970年から2011年にかけて3倍以上に増加しているそうです。この様に子どもの運動器機能が低下し、骨折などの怪我を起こしやすい運動器機能不全の状態に陥っている状態は「子どもロコモ」と言われています。運動器機能不全の状態ではバランス能力が低い、体が硬いなどの問題があり、片足立ちでふらつく、しゃがみ込みができない、両腕を垂直に耳のうしろまで挙げられない、体前屈で膝を伸ばしたまま指が床につかない、などでチェックされます。2005年から検診のスタートに先駆けて「運動器検診体制の整備・充実モデル事業」が段階的に行われたそうで、その結果約10%の子どもに運動器疾患があると推定されたそうです。新井貞男先生によりますと、従来型のスポ根、オーバーユースなど運動過多による障害発生と、運動不足による障害発生というように子どもの運動器障害ではスポーツする、しないが二極化してきているということです。新井貞男先生は運動不足による運動器機能不全でも、運動器機能障害による真の運動器機能不全と見かけ上の運動器機能不全があり、成長して障害を残す可能性のある疾病など医療を要するものと指導だけですむものを選別する必要があるということでした。 運動器検診後の受診時のストレッチ指導などは、新井貞男先生が副理事長を務めておられます日本臨床整形外科学会のホームページ上に動画が掲載されています。是非、皆様も参考になさって下さい。 |