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予防接種講習会

2016年03月07日(月) 院長ブログ

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先日、名賀医師会主催の予防接種講習会が開催されました。演題は「最近の予防接種状況とワクチン副反応について」で講師は三重病院小児科、感染症センター副部長浅田和豊先生でした。

浅田豊和先生によりますと、ここ数年に導入されたワクチンはHibワクチン、日本脳炎ワクチン、子宮頚癌ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、不活化ポリオワクチン、髄膜炎菌ワクチンなどで、近年どんどん増加しているそうです。ワクチンの効果に関しては、津市におきまして5歳未満のロタウイルス胃腸炎の入院症例数・率がロタウイルスワクチン導入後に2シーズン連続で減少したなどと一定の効果は得られているそうです。三重県小児科医会が提案する予防接種スケジュールを見せてもらいましたが、かなり密なスケジュールです。種類が多いので同時摂取する場合が多いそうですが、同時接種するとアナフィラキシーショックが起こった場合に投与したワクチン全てが禁忌になるという問題点もあるそうです。B型肝炎ウイルスは今年10月から定期接種となるそうです。B型肝炎ウイルスは血液、体液によって感染するのですが、この体液には尿、唾液、涙、汗も含まれるそうです。B型肝炎ウイルスは不顕性感染でも感染が成立すると、ウイルスが肝臓にほぼ100%残ってしまうそうです。悪性疾患などに罹り免疫抑制するとDe novo肝炎となり、劇症肝炎となることもあるそうです。

予防接種ワクチンの接種方法ですが、接種部位は乳幼児では大腿外側広筋に接種する場合が多いそうです。大腿外側広筋に接種する場合は大腿の前外側部、中央の1/3のところに接種し、注射針は25G針25mm長のものを使用し、皮膚を少しつまんで注射するとよいようです。筋注と大腿四頭筋拘縮症の関連ですが、1970年代に解熱剤、抗菌薬の筋注により約3600名の大腿四頭筋拘縮症の患者報告があったそうです。予防接種との因果関係は認められていないそうです。卵アレルギーがある場合の予防接種も懸念されるところですが、ワクチンに含有されるオボアルブミン(卵アレルギーの主要なアレルゲンの一種)濃度が微量なためにアナフィラキシーを起こす濃度に達していないので、卵アレルギーによるアナフィラキシーショックの既往があっても日本のワクチンであれば接種可能であるということでした。ワクチンの想定される副反応と出現時期は、接種後直ちに血管迷走神経反射、アナフィラキシー、少し時間をおいてIV型アレルギー反応、自然免疫反応、1週間から3週間ほどおいて出現する獲得免疫反応、増殖による反応などだそうです。副反応報告はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構法)に報告するよう義務付けられています。健康被害救済制度は、定期予防接種による健康被害は予防接種法により救済され申請先は市町村で、任意予防接種による健康被害はPMDAにより救済されるそうです。ロタウイルスワクチンと腸重積症との関連性も報告されたそうですが、腸重積症の発症リスクを増加させる頻度はごくわずかであり、ワクチンの予防効果の方がはるかに上回ると判断されているそうです。BCGの副反応としてコッホ現象(接種局所の発赤・腫脹)、化膿性リンパ節炎、皮膚結核様病変、骨炎、全身性BCG感染症などがあるそうですが、骨炎・骨髄炎の頻度は少ないそうです。子宮頚癌ワクチンと疼痛関連事象または運動障害の問題はよく報道などでも取り上げられています。この問題に関しては、早い原因の解明と解決が待たれるところですね。

アナフィラキシーと血管迷走神経反射は、共通する症状として血圧低下はありますが、血管迷走神経反射は通常蒼白、発汗を伴うのに対して、アナフィラキシーは尋麻疹、皮膚紅潮、呼吸器症状、消化器症状や中枢神経系症状が見られることもあり、活動の低下、不安感、落ちていくような感覚、昏睡なども起こりえるということです。血管迷走神経反射は徐脈となりアトロピン投与などにて対応、アナフィラキシーは頻脈から徐脈になりアドレナリン投与などにて対応ということですが、迷ったらアドレナリン投与すべきであるということでした。アナフィラキシーにおける早期アドレナリン投与は有効で、あるデータによると30分以内にアドレナリン投与した場合には死亡例はなかったということでした。アナフィラキシーの初期対応は仰臥位にして足を上げることが重要です。体位変換をきっかけに急変する可能性があるために急に座ったり立ち上がったりする動作をとらせない、トイレになど行かせたりしないなどの注意が必要ということでした。

予防接種48時間以内に突然、脱力や意識混迷、反応性の低下、顔面蒼白などを呈する予防接種副反応の一つである低緊張低反応 Hypotonic-hyporesponsive Episode (HHE)を浅田和豊先生は紹介して下さいました。HHEは低緊張かつ低反応性、顔色不良となり、2歳以下が94%、頻度は7-70回/10万接種、約半数が初回接種で起こり、接種後平均して3~4時間で起こり、持続は6~30分間、原因は不明であるということでした。また文献によりますと、HHEは更なる重大な合併症を引き起こすエビデンスはなく、再発は極めて稀であり、初回あるいは再発いずれにおいてもリスク因子は知られておらず、予測は不可能ということでした。

当院では予防接種はインフルエンザワクチン、成人肺炎球菌ワクチンしか施行していませんが、大変参考になる講習会でした。


 
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