先日の「みえ整形外科イブニングセミナー」講演2は「押さえておきたい股関節診療の基本」で講師は京都府立医科大学整形外科教授久保俊一先生でした。 久保俊一先生によりますと股関節は人体最大の荷重球関節であり、体重の数倍から十数倍の負荷に耐えつつ大きな可動域を有する関節であるということです。久保俊一先生は股関節外科医の役割として幅広い素養に基づく的確な診療の実践が必要であると述べられ、診療は察する心、患者の訴えにrespondできる診療と臨床的に治療の選択ができる診療を実践する必要があると述べられました。久保俊一先生は診断学では基礎科学の知識に基づく正しい検査手法と解釈が必要で、新しい検査技術の進歩も把握する必要があり、治療学では保存治療、リハビリテーション、新しい薬剤や治療についての造詣を深める必要があると述べられました。この様な思いから久保俊一先生は教科書を著す必要性を感じられ、「股関節学」という書物を著されたということです。久保俊一先生はこの書物を著されるのに3年間も要したとおっしゃっておられました。実は先日、「股関節学」を購入しておりましたが、1200ページ超にもおよぶ立派な書籍です。この書籍をたった3年間で完成したということに、逆に驚きました。 久保俊一先生は自身が日本股関節学会ワーキンググループ長を務められた大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)の診断指針について紹介して下さいました。Pincer typeとCam typeに分けてそれぞれ画像所見による評価から診断指針を紹介して下さいました。X線撮影においては正確な撮影の必要性について強調しておられました。 大変勉強になることばかりで、有意義な講演会でした。 |