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「小児医療現場での子どもの貧困」

2015年08月11日(火) 院長ブログ

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先日開催された伊賀地区学校保健研修会の講演(2)は「小児医療現場での子どもの貧困」で講師は健和会病院副院長小児科医和田浩先生でした。

和田浩先生は、私は「貧困問題のプロ」ではありませんが、一小児科医として貧困問題を考えてくる中で見えてきたこともいろいろあり、それを皆さんと共有したいというようにおっしゃっておられました。私は今まで貧困という視点で医療を考えたことがあまりなかったので、とても興味深く聴かせて頂きました。

和田浩先生によりますと、日本の子どもの相対的貧困率は2009年に15.7%、2012年には16.3%と増加しているということでした。相対的貧困率とは世帯所得の中央値の50%(貧困線)未満の率であると定義されているそうです。ひとり親世帯の貧困率国際比較では日本は58.7%と他国に比してかなり高率であるということでした。なぜ貧困が問題になるのかというと、和田浩先生によりますと貧困は子どもの心身の健康を悪化させるからだそうです。阿部彩著「子どもの貧困」によりますと、子どもの貧困は学力、子育て環境、健康の悪化に繋がり、虐待、非行などの問題や疎外感を生みやすくなるということです。なぜ小児医療現場で貧困が見えにくいのか?ということは、患者さんからは言ってくれないこと、他の困難(虐待、DV、発達障害、外国人、母子家庭、精神疾患、依存症、慢性疾患、若年出産、失業、不安定雇用など)も抱えていることが多く困難が複合している、一人で把握できることに限界があることなどを挙げておられました。それにはスタッフとの共有、地域の連携などが必要であるということでした。和田浩先生によりますと、困難を抱えた親はどんな人たちかというと「助けて」と言えない、コミュニケーションが苦手、不適切な外見・態度、困った人・モンスター・クレーマーなどのこともあり、私たちにネガティブな感情が湧くときに、相手は何か困難を抱えていることが多いということでした。和田浩先生は、私たちに必要なのは「援助したい気持ちになりにくい人たち」を援助する力であると述べておられました。これはなかなか困難で高い壁の様に思われ、和田浩先生の高い志に感服致しました。なぜ「助けて」と言えないのか?ということに関して、雨宮処凜氏によりますと「助けて」と言えるためには2つの条件が必要であるということで、一つは「自分は助けられるに値する、生きるに値する人間である」という自己肯定感、もう一つは他人や社会に対する最低限の信頼感だそうです。つまり相談すれば何とかなる、相談してもばかにされないと思えること、どこに相談すればいいかを知っていることが重要であるということです。和田浩先生によりますと、貧困はたやすく人からこの2つの条件を奪ってしまうようです。

和田浩先生は医療者としてわれわれにできることとして、まず相談にのる、MSW・相談窓口・保健師などにつなげる、困難を抱えながら「助けて」と言えない人たちの思いを代弁する、行動する、などを勧めておられました。実際に何もできないことも多いが、応援していることを伝え勇気づけることだけでも価値あることであると和田浩先生はおっしゃっておられました。和田浩先生は長野県「福祉医療給付制度の改善を進める会」会長を務められたりして活動しておられるそうです。和田浩先生によりますと、医療者としてわれわれに必要な力量とは、深く理解し共感する力、コミュニケーションの苦手な人と上手にコミュニケーションをとり、援助に乗りにくい人を援助する技術、そして一人で抱え込まずにチームで取り組むことなどを挙げておられました。

和田浩先生は医療分野の貧困対策として、医療費窓口無料化が重要であると述べておられました。そして和田浩先生は当事者は声を上げることができない、私たちはその最も近くにいる者として、代わって声をあげなくてはいけない、と述べておられました。和田浩先生の献身的な取り組みに、とても感心致しました。


 
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