先日、第31回三重上肢外科研究会が開催され出席しました。特別講演Ⅰは「リウマチ手のセラピィ」で講師は新潟県立リウマチセンターリハビリテーション科副技師長水越真優美先生でした。水越真優美先生は作業療法士(OT)です。作業療法士(OT)は理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)、視能訓練士(ORT)などと共にリハビリテーション職の一種で、日常生活を構成する作業へ参加することを促すことにより障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療を行い、作業への参加が制約される問題を解決し環境の改変も試みる役割を果たすそうです。 水越真優美先生によりますと、関節リウマチのトータルマネジメントは薬物療法、手術療法、リハビリテーション、ケアなどにより構成されますが、そのうちリハビリテーションにおける作業療法士の役割は身体機能、社会背景、心理的状態などを考慮に入れ、生活のしやすさを共に考えることであるということでした。 関節リウマチ患者における手指変形はボタン穴変形、スワンネック変形、尺側偏位、腫脹などがあります。これらの変形に対する装具や自助具を紹介してくださいました。装具は患部の固定、関節の変形予防や矯正などのためのもので、自助具は低下あるいは喪失した諸機能の補助・代替を行う器具です。手指変形に対する装具・自助具におけるさまざまな工夫を紹介してくださいました。水越真優美先生によりますとリウマチ患者における手の装具は着脱が自力で簡単、正確に着脱可能であることが求められるそうです。上肢機能は手指による巧緻運動機能と共に手による把持運動、更に肩・肘関節まで含めたリーチ機能などに分類されます。把持機能のうち握力においては左右の握力の平均値と日常生活関連動作自立との関連性を認めたデータを水越真優美先生は紹介してくださいました。リーチ機能は目的とするところまで手を届かせる機能で、身体各部へのタッチ空間を詳細にチェックするということでした。 水越真優美先生によりますとリウマチの影響により日常生活が不便と感じておられる方は85.7%、仕事ができないという訴えは60.3%にものぼるそうです。また訪問介護サービスの利用も十分ではないということでした。 私は今まで作業療法士の方のご講演を聴く機会はあまりありませんでしたが、大変緻密なアプローチで繊細なところまでリウマチ患者に寄り添っておられることに感銘を受けました。 |