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「筋トレに関する誤解 医療現場からのアドバイス」

2015年03月12日(木) 院長ブログ

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第28回奈良県スポーツ医・科学研究会、奈良トレーニングセミナー2015での講演Ⅱは「筋トレに関する誤解 医療現場からのアドバイス」で講師はJCHO東京新宿メディカルセンター整形外科部長柏口新二先生でした。柏口新二先生はスポーツ外傷、障害、肘、膝の外傷、障害、関節鏡手術などの大家で、スポーツ医学の第一人者の一人です。現在のトピックは「子どもの運動器検診の普及」と「中・高齢者の健康作り」だそうです。発育期の障害は手術で治すのではなく、障害を作らない“予防”が第一で、次いで検診による“早期発見”が重要と述べておられます。幅広い視点で様々な年齢層に着目し、ご活躍の場を拡げておられます。今回、柏口新二先生はスポーツ医の立場から筋トレに関する誤解を解説してくださいました。

柔道における筋トレの意義は「柔よく剛を制す」「力に頼っては技が身につかない」「柔道に必要な筋力は柔道の稽古だけで身につく」など、かつてはやや否定的な考えもあったのかもしれません。柏口新二先生によりますと、柔道創始者嘉納治五郎師範は「柔剛一体」つまり「バランスよく業(柔)と、剛(体力)を鍛える」と説いたそうです。また柔道全日本強化選手・指導者へのアンケート調査により「競技に役立つ筋力を養いたい」「競技に直結する筋トレ」など肯定的な意見が多かったそうです。

野球であれば投球フォームを模倣した形態の筋トレもありますが、不安定な姿勢で行うために大きな負荷をかけられない、競技動作とトレーニングの動作パターンが異なるなども問題点もあり、競技動作に負荷をかける筋トレはないと解説してくださいました。また標的筋肉にしっかりと負荷をかけるための条件としてトレーニング姿勢が安定していること、関節などに無理な負担がかからない生理的な動きであることなどを挙げられ、筋トレにはその目的に即した固有の最適なフォームがあり動き作り、スキルとは分けて考える必要があるということでした。

筋肉の機能で考えると、支点を作るStability muscleと力源となるMobility muscleに分けられますが、パフォーマンスの向上のためにはしっかりとした支点の確保と大きな力源を得ることが重要で、両方の強化と強調が重要であるということです。Stability muscleが注目されるようになった経緯と背景は、効率よいトレーニングマシンの開発と一部ドーピングによる筋力増強などで驚異的な筋肥大や強化が進み、問題解決のために医師やトレーナーの対応として弱いStability muscleだけが問題視されたそうです。こういった背景や経緯が伝わることがなかったためにStability muscleの重要性が誇張され、従来は肩の障害治療や術後の後療法の一つであった「腱板のリハビリ」が必要以上に強調され“インナーマッスル神話”ができたのではということでした。こういう経緯や背景を知ると、なるほどという感じですね。

柏口新二先生は、重要なことはトレーニングの目標を明確にすることであると述べられました。つまり筋力を強くするトレーニングと動き作り(筋力の使い方)は分けて考える、どちらかが大切かという問題ではなく、その選手にとってどちらが必要かということ、一石二鳥で行おうとすると両方とも中途半端になることが多いということでした。

アスリートの肘内側痛の原因として「上腕三頭筋が発達し過ぎて尺骨神経の障害が起こるという話がありますが、柏口新二先生によりますと尺骨神経の圧迫・牽引性障害は上腕三頭筋の肥大そのものは主因ではなく解剖学的な問題を有する選手が筋トレをすることによって障害を生じたり、あるいは筋トレによって構造上の異常が生じて障害が起きるということでした。

柏口新二先生は整形外科医への提言として、新しいトレーニング理論や方法が出るが、それは枝葉のことが多くトレーニングの本幹(本道)を忘れてはならない、整形外科医は運動器治療の専門家としてトレーニングについても研修する必要がある、スポーツやトレーニングを実践し、動きのメカニズムを体感する必要があるとアドバイスされました。重い言葉だと思います。

柏口新二先生は講演に先立ちまして整形外科医の立場として、スポーツを専門とされている方もおられる中で筋トレの話をするのは、私も筋トレが好きで実践しているからだと述べられました。最先端の治療から予防医学、そして自ら筋トレ実践と、柏口新二先生はまさにスポーツ医学界のリーダーであると思いました。


 
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