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「肩鎖関節脱臼の診断と治療」

2014年06月29日(日) 院長ブログ

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先日、第53回伊賀地区整形外科懇話会が開催され出席しました。特別講演は「肩鎖関節脱臼の診断と治療」で講師は社会医療法人峰和会 鈴鹿回生病院整形外科診療部長森田哲正先生でした。森田哲正先生は、手の外科のスペシャリストとしてご高名ですが、今回は肩鎖関節脱臼についてのご講演で興味深く聴かせて頂きました。

肩鎖関節脱臼はスポーツの現場において、比較的多い外傷です。受傷機転は直達外力によることが多く、上肢内転位にて肩から落ちたときに発生することが多いです。肩鎖関節脱臼は脱臼の程度が軽度であれば保存的に治療し、高度であっても年齢や社会的状況を考慮して必ずしも手術治療を選択しないというように、他の関節脱臼と比べ治療の選択などにおいて特徴的な脱臼です。

森田哲正先生によりますと、肩鎖関節脱臼に重要な役割を果たす軟部組織は肩鎖靱帯、烏口上腕靱帯(菱形靱帯、円錐靱帯)、僧帽筋、三角筋、関節円板などが代表的で、肩鎖靱帯は鎖骨の前後方向への動きを主に制動し、円錐靱帯は鎖骨の上方への動きを主に制動するそうです。

肩鎖関節脱臼の理学検査としては種々報告されていますが、鎖骨遠位端を押すと遠位端が沈み込む浮動感を感じる”Piano key phenomenon”や自動または他動で水平内転し肩鎖関節の疼痛を評価する水平内転テストが代表的です。X線検査はX線を尾側から頭側に10度振ったZanca viewが有用です。

分類はRockwood分類によりますと、TypeⅠは肩鎖関節の捻挫、鎖骨の脱臼は認めない、TypeⅡは肩鎖関節・烏口鎖骨靱帯の部分断裂、肩鎖関節の亜脱臼、TypeⅢは肩鎖関節・烏口鎖骨靱帯の完全断裂、肩鎖関節の脱臼、正常の烏口突起鎖骨間距離の25%~100%、TypeⅣは鎖骨の後方脱臼、TypeⅤは正常の烏口突起鎖骨間距離の2倍以上の転位のある著明な上方脱臼、TypeⅥは鎖骨の下方脱臼、となります。

治療はTypeⅠ、Ⅱは保存治療になります。三角巾固定、アイシング、NSAIDs投与など行い、TypeⅠでは2週間後のスポーツ復帰を、TypeⅡでは6週間後のスポーツ復帰を目指します。TypeⅣ、Ⅴ、Ⅵでは三角筋、僧帽筋も含めて破綻しており手術治療の選択となります。TypeⅢは今でも治療の選択で保存治療か手術治療か議論の分かれるところです。保存治療と手術治療では同等の成績が得られているそうです。森田哲正先生はスポーツ選手ではオーバーヘッドスポーツでは原則的に手術治療を選択するが、早期復帰を希望する場合には保存治療を選択するということでした。森田哲正先生によりますと治療方針決定には、就労内容(重労働か軽作業か)、スポーツ活動、性別、年齢などを考慮し50歳以上には原則的に保存治療を選択されるそうです。

肩鎖関節脱臼の手術治療方法は数多く報告されています。今のところ絶対的な標準手術治療は無いようです。手術治療の術後の問題点として、再脱臼率(亜脱臼)の高さがあるようです。森田哲正先生はCadenat法に工夫を加えて、術後の亜脱臼率を抑制する試みを紹介して下さいました。術後のリハビリテーションにも工夫を凝らして、早期復帰と合併症率の低下を両立させる成績を得ておられているそうです。


 
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