先日、大阪で第3回 関節リウマチ医療連携ミーティングが開催され出席しました。本会は以前にも紹介しましたように、大阪赤十字病院リウマチ・膠原病内科が提供する、大阪赤十字病院とわれわれ診療所の病診連携活動の一環です。 講演はまず大阪赤十字病院リウマチ・膠原病内科から不明熱の症例報告と大阪赤十字病院医療連携課から地域医療連携パスの運用についての紹介がありました。 招待講演は「MTX関連リンパ増殖性疾患と関節リウマチ診療」で講師は京都大学医学部附属病院免疫・膠原病内科の山川範之先生でした。 関節リウマチの治療においてアンカードラッグ(中心的薬剤)と位置づけられるMTX(メソトレキサート)は最も重要な役割を果たす薬でしょう。適切に使用されれば、高い継続率、有効率、寛解率が得られ、また関節破壊の進行阻止、QOLの改善、生命予後の改善も期待できると言われています。国内の関節リウマチ患者数は70~80万人で、そのうちMTX投与例は約45万人らしいです。しかしながらMTXは様々な副作用が起こる可能性があり、消化器症状、肝障害、骨髄障害、感染症、間質性肺炎、腎機能障害、リンパ増殖性疾患など重篤なものから様々な副作用が報告されています。このうち比較的稀な副作用である、MTX関連リンパ増殖性疾患に関して報告して下さいました。山川範之先生によりますとMTX関連リンパ増殖性疾患は起こる頻度は高くはないものの、全国的に見ると決して稀とは言えないそうです。もともと関節リウマチ患者ではMTX使用の有無にかかわらず一般人口に比して約2~4倍程度リンパ腫の合併が多いそうです。MTX関連リンパ増殖性疾患の特徴として、リンパ節外病変の割合が高いこと、EBウイルスとの関連性、MTX投与中止後に高率に自然退縮することなどが挙げられるそうです。MTX投与量とMTX関連リンパ増殖性疾患出現頻度には関連性がなく、皮疹や潰瘍、結節を認めた場合にはMTX関連リンパ増殖性疾患を疑う必要があるそうです。またその場合にはリウマチ性血管炎、感染、悪性腫瘍などの鑑別が重要で、組織生検が必要であるそうです。 今回の研究会では私が座長を務めさせていただきました。今までのMTXの副作用の中ではMTX関連リンパ増殖性疾患は最も馴染みの薄い副作用の一つでありましたが、今回詳しく解説していただき大変勉強になりました。誠にありがとうございました。 |