先日、津市で疼痛に関する講演会があり出席しました。 講演1は「運動器疼痛の基礎と臨床~関節疾患を中心に~」で講師は藤田保健衛生大学病院整形外科准教授森田充浩先生でした。森田充浩先生は関節リウマチ、股関節外科などを専門にしておられ、アメリカなどへの留学歴も豊富な経験豊かな先生です。森田充浩先生によりますと、日本では疼痛を愁訴として持っておられる方の割合は男性20%、女性25%、全体で22.9%だそうで、これはとても多い割合ですね。しかしながら現在の薬の治療に満足しておられる方の割合は27.2%であると、整形外科にとって厳しいデータも紹介して頂きました。日本では疼痛に対しては、まずNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が使われることが多いですが、アメリカでは第一選択がアセトアミノフェンだそうです。森田充浩先生は関節疾患で治療に大変難渋するような数々の困難な症例を紹介して下さいましたが、創意工夫を持って粘り強く治療しておられることに感銘を受けました。 講演2は「腰痛治療の最前線」で講師は帝京大学ちば総合医療センター教授豊根知明先生でした。脊椎炎に対して創外固定を用いて見事に治癒に導いた症例、椎間板性腰痛に対する前方固定術、成人の脊椎変形(腰曲がり)に対する椎体骨切り術など、どれも見事な治療の数々でした。椎間板性腰痛ではMRI検査画像所見による変性腰椎の骨性終板の輝度変化(Modic change)が参考になるそうです。脊椎変形に対する椎体骨切り術は、かなり難易度の高い手術治療と思われますが、仙骨の傾き、骨盤の後傾などのパラメーターから骨切りの角度を決定するそうです。脊椎後弯などの脊椎変形が進行してしまい、円錐の空間からはみ出てしまうと姿勢の保持が困難になるという説明は成る程と思いました。 さらに腰痛に対する薬物療法に関しても詳細に説明して下さいましたが、最先端の手術治療から薬物療法まで網羅しておられる豊根知明先生に感心しきりでした。 豊根知明先生の親友という落語家の桂三輝(かつらサンシャイン)さんについても紹介して頂きました。桂三輝さんはカナダ出身で桂三枝さん(現・六代桂文枝)の弟子で、現在「あなたの街に住みますプロジェクト」で三重県伊勢市に住んでいるそうです。豊根知明先生はなんと桂三輝さんと焼き鳥屋で偶然知り合いになったそうです。豊根知明先生の人脈の広さにも感心致しました。 |