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「手外科領域における新しいアプローチ」

2013年05月04日(土) 院長ブログ

先日、奈良県臨床整形外科医会研修会が開催され出席しました。特別講演は奈良医大整形外科准教授面川庄平先生の「手外科領域における新しいアプローチ」でした。

面川庄平先生は奈良医大整形外科の先輩で豊富な経験と業績をお持ちの先生です。今回は手外科領域におけるトピックスを紹介して頂きました。その一部を紹介いたします。

母指CM関節症は親指の付け根の関節である母指CM関節の変形性関節症ですが、日常よく見かける疾患です。女性に多いことはよく知られていますが、データによりますと閉経後女性の25%に母指CM関節症が認められるそうです。そのうち28%に疼痛を認めるそうです。すなわち全体で見ると閉経後女性の7%が有痛性の母指CM関節症を有することになります。これは大変多い数になりますね。つまりかなり多くの方が母指CM関節症に悩まされているということになります。ところが逆に見ますと母指CM関節の変形を認めるにもかかわらず症状のない方は72%にものぼるということで、これは大変不思議な気がします。またレントゲン写真上変形が強いと思われても症状のない場合やレントゲン写真上変形が軽度と思われても症状の強い場合もあり、レントゲン所見だけでは判断が困難のようです。

母指CM関節症に対する保存治療(手術をしない治療)は装具療法、関節内注射、内服薬、外用薬などになります。注射はステロイドやヒアルロン酸などの注入が行われますが、ステロイドの注射は短期間の効果だけで長期で見るとヒアルロン酸の方が効果はあるということです。しかしながらヒアルロン酸の母指CM関節への注射は保険適応外になります。またステロイドの注射は生理食塩水の注射と効果が変わらないという報告もあるそうで、ステロイドの注射は1回くらいに留めておくことが望ましいということでした。

母指CM関節症に対する手術治療は靭帯形成術、骨切り術、関節固定術、関節形成術など色々あります。面川庄平先生は関節鏡視下に滑膜切除、大菱形骨部分切除、長母指外転筋の半裁腱を用いて靭帯形成を併用した関節形成術を行い良好な成績を収めておられます。これには大変精緻な技術を要するものと思われます。

ばね指(弾発指)は指屈筋腱の狭窄性腱鞘炎です。保存治療として腱鞘内ステロイド注射(トリアムシノロンなど)は有効ですが、症状を繰り返す場合には3ヶ月あけて2回までに留めておられ、更に改善しなければ手術治療を勧めるということでした。弾発指の腱鞘炎はMP関節という指の付け根の関節上の腱鞘に生じますが、手術治療後にPIP関節という第2関節に屈曲拘縮といって関節が伸びない状態が起こることもあるそうです。これは要注意ですね。

更には三次元動態解析を用いて三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)の原因となる三角線維軟骨複合体(TFCC)における4本の靭帯の深層部と浅層部のそれぞれの働きや損傷されたときの手術適応を解説して頂きました。手術治療を要する場合は手の外科専門医に委ねる必要があります。

またWide awake surgeryといって、エピネフリン入りキシロカインによる局所麻酔を用いて術中にターニケットも用いずに患者さんに手指などを動かしてもらいながら手術をする試みなども紹介して頂きました。

大変細やかで精密な手技と工夫がなされており、感心しきりでした。


 
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