先日、尼崎中央病院整形外科部長三木健司先生の「整形外科医が行う慢性疼痛疾患の診断と新しい鎮痛薬」という講演を聴きました。 三木健司先生は大阪大学で手の外科を専門としておられますが、基礎医学にも長年携わっておられ「疼痛」の専門家として高名です。日本整形外科学会、整形外科痛みを語る会の創設メンバーであり、日本運動器疼痛学会、日本線維筋痛症学会などでも要職を務めておられます。 慢性疼痛は、以前に古志貴和先生の講演でもお聞きしたように、神経細胞の可塑性(変性してもとに戻らなくなってしまうこと)が関与しているようです。 日本人では慢性疼痛の部位として、男性は腰痛、肩こりの順で女性は肩こり、腰痛、手足関節痛の順に多いそうです。全体で見ても人口の15%は何らかの慢性疼痛を有するということですが、その対処方法は医療機関を受診する(19%)、民間療法を受診する(20%)、何もしない(55%)、という内訳だそうです。しかしながら慢性疼痛を有して医療機関を受診した場合の満足度は約30%であるという結果は、厳しい現実を突きつけられたような感じがしました。 従来、慢性疼痛に対しても所謂「痛み止め」(非ステロイド性抗炎症薬)しかなかったわけですが、最近では種々の薬が開発されて疼痛に対する治療選択の幅が拡がってきています。三木健司先生には新しい薬を投与する適応(適した症例)や副作用を回避するコツなど色々なことを教えて頂きました。大変参考になりました。 三木健司先生は米国ベストドクターズ社から専門医同士の評価によって選ばれるBest Doctors in Japanに2回も選出されたそうです。三木健司先生の評価の高さが伺えます。 |