先日、第50回伊賀地区整形外科懇話会で独立行政法人国立病院機構三重中央医療センターリウマチ科甲斐基一先生の「最新のリウマチ診療」という講演があり出席しました。 関節リウマチは2010年に新しい診断基準が示され、新しい診断基準では関節破壊が進行する前の患者様でも関節リウマチと診断することができるようになりました。発症早期の患者様を診断できる基準を用いて早期診断を行い、早期治療を開始することが非常に大切であると言われています。 診断にあたっては鑑別診断が重要で、甲斐基一先生はいくつかの鑑別診断となる疾患を解説して下さいました。しかしながら中には難易度の高い鑑別診断もあるようです。 現在、関節リウマチのアンカードラッグ(中心的薬剤)と言われているのはメトトレキサート(MTX)です。MTXは抗リウマチ剤の中でも生命予後を改善することが報告されており、関節リウマチにおいて最も使用される頻度が高い薬剤の一つです。MTXは免疫を抑制する薬ですので、感染症のリスクをスクリーニングする必要があります。特にB型肝炎や結核に対する注意が必要です。また腎機能障害や肝機能障害、肺障害にも注意を払わなければなりません。 甲斐基一先生はMTX服用中患者様向けの注意事項として、(1)飲み忘れたときは後で服用しない。(週に1日か2日だけ服用する薬です。)(2)脱水時には服用しない。(3)お酒はできるだけ控えるように。(4)避妊を確実に。(5)外科的治療前後は慎重に。(6)空咳、息切れ、発熱時は胸部レントゲン撮影を。(7)体調不良時は医師に相談を。などの項目を挙げておられます。 このあたりは患者様への更なる注意喚起が必要ですね。 発症早期の若年で関節リウマチの活動性の高い患者様や肺の状態の悪い患者様は医療センターや大学病院などのリウマチ科での積極的な治療が必要になるために早期に紹介することが望まれると、甲斐基一先生は勧めておられました。 |