先週おこなわれた講演会の講演2は慶応義塾大学医学部スポーツ医学総合センター講師岩本潤先生の「骨粗鬆症治療におけるテリパラチドの効果と役割」でした。 日本人が生涯で骨粗鬆症性骨折の起こる可能性は男性で12~22%、女性で40~50%だそうです。随分高い確率ですね。また一度骨粗鬆症性骨折を起こすと、二度、三度と繰り返すことが多く、生命予後まで悪化することが知られています。 しかしながら骨粗鬆症は内服薬治療の継続が困難な疾患として知られています。内服薬治療が長期にわたることや症状が一旦軽減してしまうことなどが原因でしょうね。毎日の内服を確実なものにすること(Complianceの向上)と内服薬治療を必要な期間継続すること(Persistence)の両方を向上させることが治療の質を上げるには必要で、Compliance の要素とPersistenceの要素を合わせて治療アドヒアランス(Therapeutic adherence)と言います。治療アドヒアランス(Therapeutic adherence)の向上には色々と工夫が必要ですね。 PTH製剤(テリパラチド)は従来のビスフォスフォネート製剤に比べても骨密度増加効果は高いようですね。ただかなり高額であることなどから骨折リスクの高い重症例が良い適応のようです。また副作用の多さや投与方法が皮下注射であることなどハードルは少し高いですね。連日投与製剤または週1回投与製剤がありますが、連日投与製剤は患者様の自己注射となります。 岩本潤先生の講演は大変クリアーカットでわかりやすかったです。岩本潤先生はスポーツ選手だけではなく、様々な年代層の疾患に意欲的に取り組まれておられます。また色々な点で苦労した症例や患者様とのやりとりなども紹介していただき、大変参考になりました。 |