名古屋での講演会の講演2は琉球大学整形外科教授金谷文則先生の「エビデンスに基づく橈骨遠位端骨折の治療戦略」でした。 橈骨遠位端骨折は四肢の骨折の中で、最も頻度の高い骨折です。橈骨遠位端骨折は大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折、上腕骨近位部骨折などとともに骨粗鬆症に関連した骨折です。橈骨遠位端骨折は大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折のように生命予後の悪化には繋がらないようですが、手関節の機能低下を招くために日常生活動作(ADL)の低下に繋がらないように早期機能回復が望まれます。 橈骨遠位端骨折の手術治療では掌側ロッキングプレートが良好な成績を得られており、現在ゴールデンスタンダードになっています。保存治療を行う場合には高齢者の場合には整復位を得られても高率に転位するので、徒手整復するなら内固定をすること(手術)を勧めておられました。 若年時に橈骨遠位端骨折を受傷し放置したために著しい短縮変形が認められるものの20年間大工として問題なく仕事をしている症例や、高齢者でも独居のために手関節機能の障害が日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすケースなど、年齢や活動性だけでは推し量れない治療選択のポイントを示して下さいました。まさに患者様お一人お一人としっかりと向き合って、その方にとって最も望ましい治療法を選択していく必要があるようですね。 |