先日名古屋で2つの講演会があり、聴いてきました。 講演1は東京大学整形外科准教授川口浩先生の「骨粗鬆症新薬ラッシュの中での治療戦略 -骨形成促進剤の位置づけ-」でした。 要介護の原因となってしまう骨粗鬆症を治療、予防するための薬物療法は最近進歩していますが、川口浩先生は明快に治療戦略について解説して下さいました。 骨粗鬆症の定義は、かつては骨量の低下であったが、今では骨強度の低下だそうです。骨強度の危険因子として、骨量、骨代謝回転、骨質などが挙げられるが、骨代謝回転がかなり重要な要素であるようです。 骨粗鬆症治療薬としてよく用いられる経口ビスフォスフォネート剤では顎骨壊死、非定型大腿骨骨折などが合併症として問題になりますが、これらについても解説して下さいました。どちらも頻度としては低いので薬剤の使用はリスクとベネフィットを天秤にかけてということになります。顎骨壊死の頻度が低く、骨折の危険性を低下させるというベネフィットのために、米国などでは歯科治療中でも経口ビスフォスフォネート剤を中止する必要はないという見解だそうですが、日本では3ヶ月間の休薬が勧められています。このあたりは国民性の違いですね。 最近では、骨形成促進剤(注射のみ)も開発され治療選択の幅が拡がってきています。ガイドラインやエビデンスだけでは計れない骨粗鬆症治療薬の使い分けを、川口浩先生は明確に示して下さいました。 |