先週、名賀医師会主催の小児救急医療研修会が開催されました。講師は大阪市で開業しておられる(医)福田診療所院長福田弥一郎先生でした。演題は小児外傷の湿潤療法について「開業小児科医の熱傷治療経験~湿潤療法ならここまで出来る~」でした。 湿潤療法は従来の消毒、ガーゼという創傷、熱傷処置を行わず創部の湿潤状態を保持することにより、より疼痛少なく早期に創部を治癒させるという治療法でかなり広まってきていると思います。しかしながらいわゆる「ラップ療法」により感染症を生じたり重篤な敗血症に陥った例も報告されているということで、日本熱傷学会は医師が熱傷治療において非医療材料を用いることは厳しく制限されるべきであると勧告し、注意喚起を促しています。また「湿潤療法」で、どの程度の熱傷範囲や重傷度までクリニックで治療が可能であるのかという問題や、創傷被覆材の償還期間の制限、創傷被覆材が高価であるということ、また必要な病名の問題など様々な課題があるように思われます。 福田弥一郎先生は皮膚科、形成外科の専門ではないけれども、と謙遜されながらもⅢ度熱傷も含めた多くの治療経験を紹介して下さいました。とても困難な重度と思われる熱傷症例に対しても、適切な被覆材を選択し感染に注意しながら工夫してきれいに治療しておられました。 大変参考になりました。 |