先週、独立行政法人国立病院機構千葉医療センター整形外科、古志貴和先生の「運動器慢性疼痛とオピオイド」という講演を聴きました。 古志貴和先生は疼痛の研究を専門とする新進気鋭の整形外科医、脊椎外科医です。 オピオイドは鎮痛薬で、手術中・手術後の痛み、外傷による痛み、分娩時の痛み等の急性痛や、がんによる痛み、神経が損傷された後などに長期間続く慢性痛に対して用いられます。オピオイドには鎮痛作用以外に便秘、嘔気・嘔吐、掻痒感、尿閉、眠気、呼吸抑制など様々な副作用があります。オピオイドは麻薬と混同されがちですが、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬に指定されている薬剤が麻薬であり、オピオイドとは異なります。 神経細胞の可塑化(変性してもとに戻らなくなってしまうこと)の問題もあるので、古志貴和先生は運動器慢性疼痛に対してオピオイドを含めた早期介入の必要性を説いておられました。 しかしながらオピオイド投与はまだまだ慣れの問題もあって、どうしても躊躇いを感じてしまいがちですね。 国際疼痛学会の定義では「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」となっています。 うーん、なかなか難しいですね。まだまだ私自身十分に理解しているとは言えません。今後もっと勉強して、理解を深めていきたいと思います。 古志貴和先生は今後の展望として、神経伝達物質およびサイトカインなどをターゲットとする治療が今後主流になるであろうと推測しておられました。 |