先週に名賀医師会館で、の村信介先生の慢性腎臓病(CKD)に関する講演がありました。 の村信介先生は奈良県山辺郡出身で三重大学医学部附属病院 腎臓内科・血液浄化療法部 准教授として活躍され、現在は鈴鹿回生病院、名張市立病院などで腎臓内科外来を担当しておられる腎臓病の権威であるご高名な先生です。 腎臓は加齢により衰える臓器なので、長寿社会が進むほど慢性腎臓病(CKD)の患者が増えます。そしてそのまま放置すると腎不全になってしまい、透析療法や腎移植が必要になってしまいます。現在日本では約30万人の方が透析を受けておられ日本の人口4000人に1人の割合で、世界第1位です。透析導入の年齢は男性では70歳、女性では75歳くらいが最も多く、日本の高齢化を象徴しているように思えます。慢性腎臓病(CKD)の割合は、日本成人人口の約13%であり、1330万人がCKD患者です。 弱った腎臓を鍛える方法はないので、弱った腎臓を守ることが原則で、腎臓を休ませる、頑張らせない、早期発見、早期治療、増悪因子の除去などが重要です。このためにはやはり生活習慣の改善が最も重要なようです。特に禁煙、減塩、肥満改善などです。塩分は1日3gから6g未満が勧められますが、日本人の標準塩分摂取量は12g近いらしいです。糖尿病は慢性腎臓病と密接に繋がっており、糖尿病のある場合には脳血管障害、心臓血管障害を起こす危険度が高いということです。水分の過剰摂取や過度の制限は有害だそうです。早期発見には尿検査、血液検査が必要です。 「腎臓病医」は、今や「糖尿病医」以上に生活習慣改善について説かなければいけないと、の村信介先生はおっしゃっていました。腎臓病の専門医は全国で3600人余りだそうです。日本におけるCKD患者の増加から考えると、余りに少ないと思われます。超高齢化社会を迎えて、われわれ一人一人の自覚が最も重要かもしれませんね。 |