先週の「救急医療週間の講演会」での基調講演「個性?障害? 発達障害と子育て」を紹介します。講師は関西医科大学小児科小林穂高先生でした。 発達障害は脳機能の発達が関係する生まれつきの障害です。発達障害のある人はコミュニケーションや対人関係を作るのが苦手で、その態度や行動が誤解され人から敬遠されることが多いのですが、決して子育ての仕方や躾が原因ではないということです。このあたりは一般的に誤解を招きやすいところですね。 発達障害は主に広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群)、注意欠陥多動性障害、学習障害に分類され、これらは重なり合うことも多くまた個人差が大きく症状の出方は多様であるということです。アスペルガー症候群ではないかと言われている著名人には、エジソン、アインシュタイン、ビルゲイツなどもおり、天才肌の人の中にもこの様な症状を持っておいでの方もおられるようです。 小林穂高先生によると、臨床医にとって発達障害という診断は障害児のレッテル貼りではなく患者支援のファーストステップです。つまり「障害」は支援が必要な「個性」であると言えます。 この様に発達にアンバランスがある状態を「発達凸凹」と言うそうです。発達凸凹があり日常生活で困っておれば、周囲が患者を受容し支援して褒めるというアプローチで本人に自己肯定感を持ってもらうことが重要です。親などによる体罰というアプローチでは何ら解決を導かない、というご意見でした。 発達凸凹のある子供に対しては、周囲の理解、気づき、配慮が重要で、専門家への相談も必要ですね。 粘り強く子供と向き合うという小林穂高先生の真摯な姿勢に大変感心致しました。 |