昨日、名賀医師会主催の講演会があり「認知症の診断と抗アルツハイマー病薬」という講演を聴きました。講師は菰野厚生病院神経内科部長鈴木日子先生でした。 超高齢化社会の到来により、日本では特に認知症の問題は避けて通れないですね。身近な人が認知症になったときに、誰しもその対応を迫られます。皆が人ごとではない喫緊の課題でしょう。 認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、その特徴は初期には物忘れです。特に「近時記憶」といい、数分前、数時間前の出来事をすぐに忘れるようです。次に日付や曜日などがわからなくなる見当識障害が出現します。さらに進行すると、人格障害、失語、嚥下障害、歩行障害などを生じます。最も進みますと、寝たきりや死亡に至ることも多いらしく、平均すると発症後15年くらいで以上の経過を辿ってしまうことが多いそうです。最後は死亡へと至ってしまうことは驚きですね。アルツハイマー型認知症は緩やかに進んでいくのが特徴ですので、早期発見、早期治療に務めたいですね。アルツハイマー型認知症の治療は薬による治療と薬以外の治療があります。最近、新薬の研究がめざましいので、これからに期待したいところですね。医療機関や介護サービスを積極的にうまく利用することが、続けられる介護には重要なようです。また鈴木先生によると認知症には脳血管障害の合併に注意が必要ということでした。 鈴木先生が診察する立場としてアルツハイマー型認知症の患者さんに特徴的に見られるポイントを2つ教えて下さいました。1つは「取りつくろい反応」で患者さんが認知機能の低下を無意識に隠そうと、もっともらしい理由をつけて回答を拒んだりする反応だそうです。もう1つは「振り返り現象」といって、患者さんが質問されると、すぐに振り返って身内に答えを尋ねる現象だそうです。大変参考になりますね。 |