先日、伊賀地区学校保健研修会があり出席し2つの講演を聴きました。 講演1は三重県伊賀保健所長、中山治先生による「学校における感染症の危機管理」でした。内容は結核と腸管出血性大腸菌感染症への対応についてでした。学校医の役割として、結核患者、潜在性結核感染症患者に対する保健所の管理などについて教わりました。本人の結核罹患歴、予防内服歴、家族等の結核罹患歴などよりも、高蔓延国での居住歴が精密検査の対象となるということでした。 講演2は静岡理工科大学教授、ノースカロライナ州立大学併任教授の志村史夫先生による「ITは人を幸せにするか-21世紀の幸福論-」でした。もともとITの先駆者であった志村先生は、ITによる弊害に警鐘を鳴らす先駆者でもあります。情報の渦に飲み込まれてしまい、本物を見る目や感性を失ってしまいがちなIT世代を憂慮し、本物に触れ感性を磨く重要性を説いておられます。便利な道具であるはずのITに振り回されて支配される危険性を指摘し、エレクトロニクス機器、製品を巨大な怪物に例えて「エレクトロザウルス」と呼び、志村先生が提唱したのが1986年のことだそうです。随分、時代に先駆けておられますね。まだネットも携帯も普及していない時代のことです。志村先生は今の時代に環境破壊と同じくらいに切実で危険なことが心の荒廃であり、「心の中に木を植える」ことが大切だと言っておられます。「星の王子様」サン=テグジュペリで登場するキツネが言った「大切なものは、目に見えない」という台詞も引用しておられました。 よく「IT技術」と言われていますが、ITはinformation technology(情報技術)の略なのでこれでは「頭痛が痛い」と同じである、と志村先生は指摘しておられました。そりゃそうですね!その他にもおもしろい話満載で、志村先生のご講演は大変興味深いものでした。 |