昨日、奈良県文化会館で開催された第14回スポーツ医学研究会に出席しました。 特別講演1は神戸大学整形外科准教授、黒田良祐先生の「膝前十字靱帯損傷の病態と治療―基礎研究から臨床応用へ―」でした。 以前はスポーツ選手が膝前十字靱帯を損傷すると元のようにスポーツ復帰することは困難で選手生命が絶たれる場合が多かったのですが、最近では手術治療の進歩によりかなりの選手がスポーツ復帰を見込めるようになってきました。 黒田先生は多くの一流スポーツ選手の治療を手がけておられ、柔道の野村選手、格闘家の山本KID選手、ラグビー神戸製鋼の大畑選手なども治療しておられます。 良くなる選手も多い反面、手術治療をしても経過の思わしくない選手もいるそうで、選手には決して復帰を焦らずにじっくりとリハビリテーションをして再受傷をさせないように細心の注意を払っているということでした。 黒田先生のスポーツ選手を思う真摯な姿勢が見て取れました。 特別講演2は岐阜大学整形外科教授、清水克時先生の「スポーツ選手の腰椎分離症」でした。 腰椎分離症はスポーツなどによる疲労骨折と言われていますが、頻度は結構高いようです。 調査によると、あるプロ野球球団選手の半数以上に腰椎分離症を認めたということです。 若年者に発症した場合は、保存治療(装具と6ヶ月間のスポーツ制限などの治療)で約8割が治る(骨が癒合するか、あるいは癒合しなくても痛くなくなる。)そうです。 ただ保存治療で良くならない場合には、運動を断念するか我慢しながら運動を続けるか(あるいはレベルを下げて運動を続ける)か手術治療を受けるかの選択が迫られます。 清水先生は腰椎分離症手術治療の第一人者ですが、手術治療の場合に治療期間は1年を要するということでした。 腰を据えた治療が必要なようですね。 |