先週に、昨年に引き続いてもう一度三重大学教授の須藤啓広教授の講演を聴くことができました。 今回は伊賀市、名張市全体の整形外科懇話会で、伊賀市と名張市の整形外科病院勤務医と開業医が勢揃いという感じでした。 昨年にお聞きした知見に加えて、興味深い話、最近のトピックスを聞いてきました。 日本人はとても長生きで平均寿命は女性が86.44歳で25年連続世界1位、男性は79.59歳で世界第5位ということです。さすがに日本女性はすごいですね。でも女性の健康寿命は77.7歳、その後の要介護期間が8.74年間、男性の健康寿命は72.3歳、その後の要介護期間が7.29年間であるということです。寝たきりの原因として、骨粗鬆症による骨折や関節疾患を合わせると第2位となるという話でした。 骨粗鬆症による骨折では、脊椎圧迫骨折(腰骨、背骨の骨折、腰や背中の曲がり)、大腿骨近位部骨折(足の付け根、股関節の骨折)、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)、上腕骨近位部骨折(肩の骨折)などが代表的で、大腿骨近位部骨折などは特に入院手術治療を必要とする場合が多いです。しかしながらこれらの骨折を生じた場合に、その後の10年生存率で比較すると脊椎圧迫骨折が最も10年生存率の低下が確認されたということです。また脊椎圧迫骨折でも3カ所以上骨折している場合には生存率が大幅に低下しているというデータが示されました。 症状のない場合でも70歳代の4人に1人、80歳代で2人に1人は脊椎圧迫骨折を起こしているという検診のデータを見せて頂きました。また脊椎圧迫骨折を起こしている人の3分の2以上は無症状であるということは注目に値します。つまり高齢の方では無症状のうちに脊椎圧迫骨折を起こしてしまう可能性が高く、特に複数個の骨折を起こしてしまっている場合には有意に生存率が低下してしまうということになります。 骨粗鬆症に対する治療は、食事療法(カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質、ビタミンB類など)、運動療法(適度な運動や日光浴、筋力の維持など)、環境整備(転倒しないような環境作り、階段、段差、滑りやすい場所の注意、バリアフリーなど)、薬物療法などが中心になります。 皆様、気をつけて健康的な生活を心がけて下さいね。 |