2018 年 9 月 のアーカイブ

「スキルアップセミナー~地域で診るHIV感染症について~」

2018年09月10日(月) 院長ブログ

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先日、名張市立病院地域医療教育研修センターと名賀医師会名張市在宅医療支援センター共催の「スキルアップセミナー~地域で診るHIV感染症について~」が開催され、クリニックのスタッフとともに参加いたしました。

かつては死の病と恐れられたHIV感染症は、近年の薬剤治療の進歩により、現在は平均寿命を全うできる長期生存が可能な慢性疾患になっているそうです。一方で、HIV感染者が加齢に伴う身体機能・認知機能の低下などで自宅療養が困難になった際には、自宅で介護サービスや訪問看護を受けたり、自宅以外の長期療養先を利用するなど周囲のサポートが必要となるが、まだまだ整備が進んでいないのが現状であるということです。

講演①は「伊賀保健所のエイズ対策事業紹介」で伊賀保健所健康増進課保健師から発表があり、伊賀保健所ではHIV検査を無料・匿名で行っているということでした。

講演②は「非“専門家”のためのHIV感染症との関わり方」で講師は国立国際医療研究開発センター、エイズ治療・研究開発センター医療情報室長塚田訓久先生でした。塚田訓久先生によりますとHIV感染症とは、ヒト免疫不全ウイルスの持続感染の結果、細胞性免疫系が機能不全に陥る疾患であるそうです。HIV感染症診療の2本の柱は免疫不全の原因治療と免疫不全に伴う日和見合併症の管理であるということでした。HIV感染症による高度の細胞性免疫不全に伴い、免疫健常者が発症しないような合併症(日和見感染症など)をきたした状態をAIDSと言うのだそうですが、日本ではHIV感染者が「エイズ指標疾患」を発症した状態を「後天性免疫不全症候群(AIDS)」と定義しているそうです。塚田訓久先生によりますと、日本では新規に報告された例の約3分の1が診断時にAIDSを発症しているということでした。薬物療法の発展は目覚ましく、抗HIV療法の簡便化が進み1997年頃には多量の内服薬を服用し副作用も強かったそうですが、2013年頃には1日1錠の服薬で副作用も軽減されているそうです。安定期のHIV感染者に最適なプライマリケアや専門的医療を提供したり、必要な医療への良好なアクセスを提供することが当面の課題であるということで、塚田訓久先生によりますと現代におけるHIV感染症の問題点は生命予後と社会的予後の乖離であるということでした。

私にとって知らないことばかりで、私がなんとなく知っていた知識は数十年前のものであることがわかりました。塚田訓久先生の解説は大変わかりやすかったです。ありがとうございました。

待ち時間のお知らせ(9月3日~9月8日)

2018年09月08日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

9月3日~9月8日

リハビリ通信 No.270 股・膝関節90°腰椎牽引について

2018年09月07日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

リハビリ通信No.270

現在、当院で使用している腰椎牽引機器は股関節90°膝関節90°の状態で腰椎の牽引を行なっています。股関節90°膝関節90°牽引の場合、前弯が減少し脊柱が牽引方向に対して水平な状態で牽引するので無理な力が脊柱に働かずに筋のリラクセーション、筋を調整する作用が起きます。腰椎の前弯が減少し脊柱が牽引方向に対して水平な状態で牽引を行う事のメリットとして椎間関節が緩やかに開く作用があり、椎間孔の開大、椎間板後部の開大に作用します。これは狭窄症・ヘルニアに有効であると言えます。

従来からの牽引は前弯がわずかに残存し、脊柱が牽引方向に対して水平ではない状態で行うので脊柱を無理に伸張する力が加わり、同時に椎間関節に不適切な力が働く事になります。

リハビリテーション室長 見田忠幸

「“長寿菌”がいのちを守る!~大切な腸内環境コントロール~」

2018年09月06日(木) 院長ブログ

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本日、アドバンスコープADSホール(名張市青少年センター)におきまして名賀医師会主催の救急医療週間の講演会が開催されました。特別講演は「“長寿菌”がいのちを守る!~大切な腸内環境コントロール~」で講師は国立研究開発法人理化学研究所辨野義己先生でした。

便の(べんの)研究をしておられる辨野(べんの)義己先生は、もう45年間も腸内細菌の研究をしておられるそうです。辨野義己先生によりますと加齢により腸の中の老廃物を出す力(腸管運動)が低下し、腸内に有害な腐敗物質がたまりやすくなるそうです。また腸内細菌は10%が悪玉菌、20%が善玉菌、残りの80%が日和見菌だそうですが、加齢によりこのバランスが崩れ、善玉菌が急激に減少し悪玉菌が増加してくるそうです。以上の「腸年齢の老化」により、腸内腐敗によって作られた有害物質が腸管から吸収され、老化がさらに加速するという悪循環が生まれるそうです。辨野義己先生によりますと肥満の人、ストレス過多の人で特に腸の老化が進行しているという調査結果であったそうです。”健康長寿者”に共通する生活習慣は野菜をたくさん食べている、身体をよく動かしているなどであるそうです。辨野義己先生によりますと健康長寿者の腸に多い腸内細菌は「大便桿菌」と「大便球菌」で、どちらも「酪酸」という物質を作る「酪酸産生菌(酪酸菌)」であるということです。もう一つ健康長寿者に多いのは善玉菌の代表である「ビフィズス菌」だそうです。辨野義己先生はこれらの腸内細菌のグループを総称して「長寿菌」と呼ぶようにしたということでした。腸内環境の善し悪しは、毎日自分で目と鼻で自分の便を確認することにより測ることができるので、「便所は便器のある所ではなく、身体からのお便りを受け取るところ、すなわちお便り所が便所です。」と辨野義己先生はおっしゃられました。辨野義己先生によりますと食生活でいいウンチを作り、運動で筋力をつけてしっかり出すことが肝心で、トイレでのチェックで「臭いがきつくなく、黄色から黄褐色がかったウンチを、毎日バナナ3本分ほど出す」ことが良い腸内環境を産み出す極意であるということでした。約500名の参加された皆様は辨野義己先生のお話を大変興味を持って聞いておられた様子でした。

特別講演の後には名張消防署職員(救急救命士)、女性消防団員によるAED、心肺蘇生法の説明、実演「あなたの勇気が命を救う」が行われ、救命処置をわかりやすく解説して下さいました。日本では年間約10万人の突然死があり、このうち約6万人が心臓突然死であるそうです。1日に160人もの人が心臓突然死している計算になるそうです。AEDを使用することにより心肺停止状態の方を救命できる可能性が上昇するため、AEDを必要なときには躊躇わずに使用することが重要であるということでした。若くして心臓突然死で亡くなられた方々の生前の写真が写った、心臓突然死啓発映像「あなたにしか救えない大切な命~君の瞳とともに~」を見せていただきました。胸に迫る映像で、改めてAEDの重要性を強く感じました。

本日は、本当に大勢の方が講演会にお越し下さいました。誠にありがとうございました。

Familie*

2018年09月04日(火) 院長ブログ

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今季のFamilie*のお花です。秋の先取りですね!素敵です。