2019 年 4 月 のアーカイブ

エンド・オブ・ライフ・ケア研修

2019年04月14日(日) 院長ブログ

先日、名賀医師会・名張市在宅医療支援センター主催の「エンド・オブ・ライフ・ケア研修」が開催されました。講義1は「高齢者のエンド・オブ・ライフ・ケア」で講師は老人看護専門講師市川智子氏(岡波総合病院看護師)、講義2は「エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理的配慮、意思決定支援」で講師はがん看護専門看護師中滉子氏(岡波総合病院看護師)でした。医療保健福祉関係職員、行政機関職員対象に、講義とグループワークが行われました。クリニックスタッフとともに参加いたしました。

エンド・オブ・ライフ・ケアとは従来のターミナルケア、ホスピスケア、緩和ケアとは異なり、疾患を限定せず、死が差し迫った人、あるいは死を意識するようになった人に提供される医療・看護・介護であるそうです。講義「高齢者のエンド・オブ・ライフ・ケア」では「老い」とは、高齢者とのコミュニケーション、高齢者の倫理的問題、高齢者の尊厳を保持するためのケア、高齢者の家族の悲嘆のケア、医療・介護スタッフのエンパワーメントについて市川智子氏が解説して下さいました。「老い」とはでは、老年症候群、フレイル、廃用症候群、老化による認知機能の低下などについて解説して下さいました。高齢者とのコミュニケーションについて、高齢者の人生を知ることや高齢者の微弱なサインをキャッチすることが重要であるということでした。高齢者に対して、毎日、繰り返し、丁寧に行われるケアこそ、高齢者の尊厳の保持につながるので、日々、繰り返されるケアこそ価値があるということを医療・介護スタッフに伝えることが重要であるということでした。市川智子氏によりますと高齢者のエンド・オブ・ライフ・ケアのおける医療・介護スタッフの役割は、高齢者をエンド・オブ・ライフ・ケアの対象と捉え、尊厳を保持するためのケアを提供し、家族の特徴を理解したうえで、死別前からケアを提供することが重要であるということでした。

講義「エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理的配慮、意思決定支援」では倫理的問題とは何か、エンド・オブ・ライフ・ケアで直面する倫理的問題、アドバンス・ケア・プランニング、看護倫理に基づくケアの実践について、中滉子氏が解説して下さいました。倫理的問題とは「医療を受ける患者、患者の関係者、医療スタッフ間において、それぞれの価値観や価値判断の違いから生じる問題」であるそうです。価値観とは「いかなる物事に価値を認めるかという個人個人の評価的判断」であるそうで、人は「こうあるべきだ」「これが正しい」という判断や、行為や方法の背景には、必ずその人の価値観が潜んでいるということでした。これは、つい忘れがちなことですね。医療倫理の4原則は自律の尊重、善行、無危害、正義であるそうです(ビーチャムとチルドレス)。自律の尊重とは他人からの強制なしに自分の人生や身体についての決定を下す権利を尊重することであるそうです。善行とは他人に善をなすことであるそうです。無危害とは他者に危害を加えないことであるそうです。正義とは利益と負担を公平に分配することであるそうです。倫理原則の適用には限界があり、ただ単に倫理原則を適用するのではなく、個々の事例を尊重した倫理的な判断がなされなくてはならないということでした。患者にとって最善の意思決定を導くために、患者の意思を明確にするとともに、患者の最善に関する家族および多職種チームの見解を合わせ、全員で合意を目指すことが重要であるということでした。

安楽死・尊厳死の定義は、安楽死は「苦しい生、ないし意味のない生から患者を開放するという目的を達成するために意図的に行われる死なせる行為」で日本では安楽死は合法ではありません。尊厳死は「不治で末期に至った患者が、本人の意思に基づいて、死期を単に引き延ばすためだけの延命措置を断り、自然の経過のまま受け入れる死のこと」であるそうです。尊厳死とは人間としての尊厳を保って死に至ること、つまり、単に生きた物としてではなく、人間として遇され、人間として死に至ること、ないしそのようにして達成された死を指すそうです。つまり「尊厳ある死」ではなく「尊厳をもって死に至るまで生きること」であるそうです。死に至るまで、自らの存在を肯定する自尊感を持って生きるあり方を指しており、それを達成することがエンド・オブ・ライフ・ケアの目的であるそうです。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者が患者自らの意向に基づき予め話し合うプロセスであるそうです。アドバンス・ディレクティブ(事前指示)とは患者あるいは健常人が、将来判断能力を失った際に、自らに行われる医療行為に対する意向を前もって示すことであるそうです。DNARオーダーとはDo Not Attempt Resuscitationの略で、末期状態で心停止の場合に、蘇生処置をしないという取り決めのことであるそうです。アドバンス・ケア・プランニングの位置づけはアドバンス・ケア・プランニングにアドバンス・ディレクティブが含まれ、その中にDNARオーダーが含まれるという位置づけであるそうです。アドバンス・ケア・プランニングの目的は患者や、家族のエンド・オブ・ライフに関する希望が表現され、尊重されることであるそうです。継続的に患者の価値観やニーズを理解し、‘患者にとっての最善’を常に考えることが重要であるということでした。中滉子氏によりますとケア提供者は、倫理的問題にまず気づくことが重要であり、ケア提供者には患者の価値観やニーズを把握し、患者・家族の権利を擁護する役割があり、倫理的問題を検討する際は、多職種チームで話し合い、常に‘患者にとっての最善’を考えることが重要であるということでした。

2つの講義とも、とてもわかりやすく、またグループワークと意見の共有も実りあるもので、受講者にとって大変有益な研修会であると思いました。

待ち時間のお知らせ(4月8日~4月13日)

2019年04月14日(日) 待ち時間のお知らせ1新着情報

「ラガーにゃん 1」

2019年04月12日(金) 院長ブログ

「ラガーにゃん 1」を読みました。

「猫でもわかるラグビー入門(初級編)」ということです。

作者の、そにしけんじ氏は高校生、大学生の時にラグビー選手だったそうです。

また解説の廣瀬俊朗氏は元ラグビー日本代表主将です。詳細なラグビーに関する解説をして下さっています。

ラグビーワールドカップを222倍楽しむ必読まんが。基本技術、ルール解説から用語集まで~これ1冊で「ラグビー通」にニャれる!ということです。

子どもにも、大人にも読んでもらいたいですね!

リハビリ通信 No.292 代償動作

2019年04月12日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

代償動作は歩く、物を取る、など目的そのものを達成するためには必要な機能といえます。

しかし、本来使われるはずの筋肉や関節が動かせないことによって、硬くなったり、疼痛を引き起こしてしまったり、または代償した部分が過負荷となったりしてしまう可能性があります。

そのため理学療法では、代償動作を抑制しつつ目的の関節や筋肉が働きやすい環境を作って運動療法を行います。

ポイントとしては、弱い負荷で行い、他の部分が動かないようしっかり固定して動かすことが重要と考えます。

リハビリテーション科 堤 豊

Sport Japan vol.42

2019年04月11日(木) 院長ブログ

Sport Japan vol.42の第1特集は、指導者、保護者、プレーヤー、「それぞれの思い」を考える、第2特集は、~こんな指導者から学びたい!~人を引きつける指導法、特別企画は「スポーツ指導を取り巻く環境の変化」~遍く人々のスポーツ享受を目指して~、です。

第2特集の~こんな指導者から学びたい!~人を引きつける指導法のPART 3は柔道全日本男子監督井上康生氏です。井上康生氏はシドニーオリンピック100kg級で金メダルを獲得し、2012年に全日本男子監督に就任、リオデジャネイロオリンピックでは男子が金メダル2個を含む全7階級でメダルを獲得し、日本柔道男子を復活させたということです。井上康生氏は日本スポーツ協会公認柔道コーチでもあります。

「何事も対話してみなければわからない。」、「選手の自主・自立を重んじる。」「統率力が指導者には必要。」などの井上康生氏の言葉は重みがあります。

井上康生氏は全日本の合宿で選手たちに、箱根駅伝で青山学院大学の連覇が途切れた記事と帝京大学ラグビー部の10連覇を阻止した天理大学の記事を配ったそうです。今回優勝した東海大学駅伝部や帝京大学に勝った天理大学も、これまで数多くの悔し涙を流し、執念を燃やして臨んだということを、忘れてはいけない、どんな強者でも勝負事に絶対はない、と述べる井上康生氏がこれほど勝ち続けることは本当に難しいと思うのは、金メダル候補と言われながらもアテネオリンピック準々決勝で敗れた自身の経験もあるということでした。

悩みがない指導者なんていない、と言う井上康生氏は、試行錯誤しながらも本当に素晴らしい成果を収めておられます。井上康生氏は選手としても、指導者としても一流ですね!