本日、アドバンスコープADSホール(名張市青少年センター)におきまして名賀医師会主催の救急医療週間の講演会が開催されました。特別講演は「“長寿菌”がいのちを守る!~大切な腸内環境コントロール~」で講師は国立研究開発法人理化学研究所辨野義己先生でした。
便の(べんの)研究をしておられる辨野(べんの)義己先生は、もう45年間も腸内細菌の研究をしておられるそうです。辨野義己先生によりますと加齢により腸の中の老廃物を出す力(腸管運動)が低下し、腸内に有害な腐敗物質がたまりやすくなるそうです。また腸内細菌は10%が悪玉菌、20%が善玉菌、残りの80%が日和見菌だそうですが、加齢によりこのバランスが崩れ、善玉菌が急激に減少し悪玉菌が増加してくるそうです。以上の「腸年齢の老化」により、腸内腐敗によって作られた有害物質が腸管から吸収され、老化がさらに加速するという悪循環が生まれるそうです。辨野義己先生によりますと肥満の人、ストレス過多の人で特に腸の老化が進行しているという調査結果であったそうです。”健康長寿者”に共通する生活習慣は野菜をたくさん食べている、身体をよく動かしているなどであるそうです。辨野義己先生によりますと健康長寿者の腸に多い腸内細菌は「大便桿菌」と「大便球菌」で、どちらも「酪酸」という物質を作る「酪酸産生菌(酪酸菌)」であるということです。もう一つ健康長寿者に多いのは善玉菌の代表である「ビフィズス菌」だそうです。辨野義己先生はこれらの腸内細菌のグループを総称して「長寿菌」と呼ぶようにしたということでした。腸内環境の善し悪しは、毎日自分で目と鼻で自分の便を確認することにより測ることができるので、「便所は便器のある所ではなく、身体からのお便りを受け取るところ、すなわちお便り所が便所です。」と辨野義己先生はおっしゃられました。辨野義己先生によりますと食生活でいいウンチを作り、運動で筋力をつけてしっかり出すことが肝心で、トイレでのチェックで「臭いがきつくなく、黄色から黄褐色がかったウンチを、毎日バナナ3本分ほど出す」ことが良い腸内環境を産み出す極意であるということでした。約500名の参加された皆様は辨野義己先生のお話を大変興味を持って聞いておられた様子でした。
特別講演の後には名張消防署職員(救急救命士)、女性消防団員によるAED、心肺蘇生法の説明、実演「あなたの勇気が命を救う」が行われ、救命処置をわかりやすく解説して下さいました。日本では年間約10万人の突然死があり、このうち約6万人が心臓突然死であるそうです。1日に160人もの人が心臓突然死している計算になるそうです。AEDを使用することにより心肺停止状態の方を救命できる可能性が上昇するため、AEDを必要なときには躊躇わずに使用することが重要であるということでした。若くして心臓突然死で亡くなられた方々の生前の写真が写った、心臓突然死啓発映像「あなたにしか救えない大切な命~君の瞳とともに~」を見せていただきました。胸に迫る映像で、改めてAEDの重要性を強く感じました。
本日は、本当に大勢の方が講演会にお越し下さいました。誠にありがとうございました。
台風の接近による悪天候のために、本日午後診は臨時休診にさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承くださいますようお願いいたします。
パーキンソン病には様々な症状がありますが、特に「すくみ足」という歩行時の不安定性、転倒につながるような症状があります。このすくみ足とは、動作を開始する際、その動作が止まってしまう状態で有り、歩行時に1歩を出そうとしても脚が前へ出すことができなくなる症状です。
当院に通院しておられる方の中でもパーキンソン病により歩行困難な方がおられるため、転倒しないように歩行介助の方法を工夫するようにスタッフ間で情報を共有するようにしています。
すくみ足に対する対策として、歩行時にどこまで脚を前へ出すのか目印を作る、もしくは脚を出す際のかけ声などが有効であるという報告があるため、かけ声をかけながら歩行介助をしています。このようにして当院では歩行介助と転倒予防に努めています。
リハビリテーション科 小野正博