本日、月ヶ瀬公民館ホールにおきまして「熱中症について」という演題を講演させていただきました。お休みにもかかわらず多数お集まり下さいまして、ありがとうございました。
高齢者の熱中症予防や「かくれ脱水」などについても、紹介させていただきました。少しでも皆様のご健康に寄与できれば幸いです。
抗生物質(抗菌薬)が効かない耐性菌に注目が集まっています。世界保健機関(WHO)は世界中で危険なレベルに達しているとして、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも対策が議論され世界的な課題となっています。
抗生物質は1929年、英国の学者フレミングがペニシリンを発見した事から始まりメチシリン、バンコマイシンなど様々な抗生物質が開発され細菌の感染治療に用いられましたが耐性菌が次々に出現し、いたちごっこの状況が続いてきました。耐性菌は遺伝子が突然変異したり、細菌が持っている耐性遺伝子が他の病原菌に乗り移ったりして生まれます。耐性菌が感染を繰り返すと複数の抗生物質への耐性を獲得し多剤耐性菌になります。つまり、使用できる抗生物質が限られ治療は困難になります。耐性菌の中でも特に対策が急がれているのがカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)です。大阪の病院で大規模な院内感染が起こり健康な人でも重症化する恐れがあります。
対策として
①国や学術機関を中心に抗生物質の開発を進める必要がある。
②幅広く菌に効く薬ではなく、各々の菌にピンポイントで効く薬が必要である。
③抗生物質の正しい服用が重要で使いまわしはせず、必要な時にだけ処方された量を守って服用することが大切である。
④手洗いなど基本的な日常感染対策を習慣づける。
今後、新しい抗生物質が開発されなければ感染菌による死亡者数が更に増えると考えられます。
リハビリテーション室長 見田忠幸
第19回奈良スポーツ医学研究会の特別講演Ⅱは「女性アスリートにおける諸問題とその対策について~産婦人科医師の立場から~」で講師は独立行政法人国立病院機構西別府病院スポーツ医学センター長松田貴雄先生でした。
西別府病院スポーツ医学センターは野球医学科、スポーツアスリート内科、女性アスリート内科、スポーツ歯科、スポーツ心肺ドックなど各分野で専門的にスポーツ選手をサポートしています。松田貴雄先生は産婦人科医師の立場から女性アスリートにおける諸問題とその対策について解説してくださいました。
女性アスリートでは、激しい運動を長期間続けていくと、月経が起こらなくなることがあるそうです。以前は、体重制限のみられる競技で多く見られ、摂食障害、骨粗鬆症と合わせて「女性アスリートの三徴候」といわれていたそうです。最近はやせが見られなくても、利用できるエネルギーの不足が原因とされ、摂食エネルギーの不足が原因とされ、摂食エネルギーの不足や偏った栄養障害が原因とされるようになったそうです。アスリートにとって無月経は、疲労骨折につながるリスクファクターとして起こしてはいけない状態との認識に変わってきているそうで、栄養調査で摂食カロリーを確認して無月経の予防を行っているそうです。またアスリートの月経異常、月経障害に対しては、積極的に月経コントロールを行う目的で低用量ピルを内服しコンディショニングを行っているそうです。
松田貴雄先生によりますと、スポーツによる貧血をアスリート貧血といい、貧血は栄養と相関するそうです。鉄欠乏性貧血と診断されれば、薬物療法に加えて栄養調査も行い、栄養アドバイスを行っているそうです。女性アスリートや成長期のアスリートは骨粗鬆症を認めることが多く疲労骨折を起こしやすくなっていることがあるそうです。成長速度曲線などを用いて骨粗鬆症になる背景を確認しているそうです。松田貴雄先生は多のう胞性卵巣症候群についても解説してくださいました。私には専門外でもあり、まだまだ理解できないことも多かったですが、女性特有の成長過程に生じるスポーツ障害について理解を深めていく必要性を感じました。
松田貴雄先生が冒頭で日本ハムファイターズ大谷翔平選手の「先入観は可能を不可能にする。」という言葉を紹介していたことが印象的でした。大変重みのある言葉です。戒めにしたいものだと思いました。