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リハビリ通信 No.212 耐性菌について

2016年08月19日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

図

抗生物質(抗菌薬)が効かない耐性菌に注目が集まっています。世界保健機関(WHO)は世界中で危険なレベルに達しているとして、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも対策が議論され世界的な課題となっています。

抗生物質は1929年、英国の学者フレミングがペニシリンを発見した事から始まりメチシリン、バンコマイシンなど様々な抗生物質が開発され細菌の感染治療に用いられましたが耐性菌が次々に出現し、いたちごっこの状況が続いてきました。耐性菌は遺伝子が突然変異したり、細菌が持っている耐性遺伝子が他の病原菌に乗り移ったりして生まれます。耐性菌が感染を繰り返すと複数の抗生物質への耐性を獲得し多剤耐性菌になります。つまり、使用できる抗生物質が限られ治療は困難になります。耐性菌の中でも特に対策が急がれているのがカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)です。大阪の病院で大規模な院内感染が起こり健康な人でも重症化する恐れがあります。

対策として

①国や学術機関を中心に抗生物質の開発を進める必要がある。

②幅広く菌に効く薬ではなく、各々の菌にピンポイントで効く薬が必要である。

③抗生物質の正しい服用が重要で使いまわしはせず、必要な時にだけ処方された量を守って服用することが大切である。

④手洗いなど基本的な日常感染対策を習慣づける。

今後、新しい抗生物質が開発されなければ感染菌による死亡者数が更に増えると考えられます。

リハビリテーション室長 見田忠幸