2015 年 5 月 のアーカイブ

ためしてガッテン

2015年05月28日(木) 院長ブログ

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5月13日放送の「ためしてガッテン」は、「驚き!最新ねんざ治療「3日安静」の大誤解」でした。

「足首のねんざ」はとてもありふれたケガで、多くの人が経験あることと思います。しかしながら「足首のねんざ」は実は靱帯損傷である場合が多く、放置すれば後遺症を残す場合もあります。骨折ではないので、比較的短期間で痛みが改善してしまうことも油断してしまう原因かもしれません。

番組では慶応義塾大学スポーツ医学研究センター准教授橋本健史先生がねんざした場合の治療法などを、奈良県立医科大学整形外科学教授田中康仁先生がねんざ対策予防として腓骨筋群の鍛え方を紹介されました。ねんざの治療では、じん帯を修復するコラーゲンが増えるまで約2週間は適切な固定をする必要があるということでした。腓骨筋群は緩んだじん帯をカバーすることのできる筋肉で、ねんざの再発や変形性足関節症の予防にもつながります。

実は、私は番組をリアルタイムでは視られなかったのですが、先週に「テレビを観て…、足が心配になって…。」と来られた方が何名もおられました。その方々に「ためしてガッテン」ですか?と聞きますと、皆「そうです!」とのお答え。大変、影響力の強い番組ですね!

リハビリ通信 No.154 腸脛靱帯炎について

2015年05月24日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

リハビリ通信No.154

腸脛靭帯炎とは、膝関節の屈伸時に大腿骨外側上顆と腸脛靭帯との間で過度の摩擦が生じることで大腿骨外側上顆周囲(右図のピンク丸)に疼痛が生じる疾患のことを言い、長距離走やジャンプなどの膝関節の屈伸をよく行う選手にみられる障害です。右図のように腸脛靭帯は、大腿の外側に存在しており、大腿筋膜張筋と大殿筋から起始し、脛骨のGerdy結節に停止します。

疼痛の要因として大腿筋膜張筋や大殿筋の柔軟性低下や下腿内旋などの不良姿勢が挙げられます。疼痛誘発テストとして、grasping testがあり、大腿骨外側上顆の近位で腸脛靭帯を徒手で圧迫し、膝関節を屈伸させた際に外側上顆部に疼痛が出現すれば陽性となります。

理学療法では、上記の評価を行い、筋の柔軟性の改善や不良姿勢の是正を行い、疼痛の軽減を図っています。

リハビリテーション科 服部 司

第88回日本整形外科学会学術総会

2015年05月24日(日) 院長ブログ

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5月21日から5月24日まで神戸市で第88回日本整形外科学会学術総会が開催されました。平日はなかなか休めないので、最終日である本日のみ出席いたしました。

足部疾患のセッションを聴いた後に、教育研修講演58の「足関節・後足部再建手術の最新の動向」を受講しました。講師は東京警察病院整形外科部長原口直樹先生でした。変形性足関節症、関節リウマチ、距骨壊死、成人期扁平足に関して新しい概念や手技の進歩、その最新の動向を紹介してくださいました。変形性足関節症に関しては手術治療として骨切り術、関節固定術、関節牽引形成術について解説してくださいました。骨切り術としては内反型OAに対しては高倉義典先生により報告された低位脛骨骨切り術(LTO)と寺本司先生により報告された脛骨遠位斜め骨切り術(DTOO)をそれぞれの適応で施行しているということでした。外反型OAに関しては扁平足の合併の有無が重要であるということです。関節固定術では従来、直視下手術でも良好な結果が報告されていましたが、近年鏡視下手術において骨癒合期間の短縮と術後の疼痛軽減が報告されておりGolden Standardが鏡視下手術に取って代わられたという報告もあるそうです。牽引関節形成術はIlizarov創外固定器で3ヶ月間足関節に牽引を加える方法で、可動域良好で関節固定術を望まない進行期から末期関節症患者に行いうるそうです。一定の効果は認められるものの、最終的は約45%で関節固定術か人工関節置換術を要したという報告もあるそうです。しかしながら原口直樹先生は関節裂隙の狭小化が著しく改善された良好な術後結果である症例も供覧して下さいました。関節リウマチに関しては人工足関節全置換術における工夫などを紹介されました。距骨壊死に関しては従来行われてきた脛踵関節固定術の術後成績が満足いくものではなかったが、高倉義典先生により導入されたセラミック製人工距骨全置換術が距骨の解剖学的特徴を捉えたもので術後成績も良好であることを紹介されました。成人期扁平足は後脛骨筋腱機能不全症ですが、距骨下関節の動きが温存されている2期では踵骨骨切り術・長趾屈筋腱移行術合併手術が行われてきたが、病態により更に追加手術を要するということでした。4期になると汎距骨固定が一般的だそうです。このあたりもかなり専門的な手術といえそうです。

ランチョンセミナー41は「関節リウマチ治療におけるMTXの役割と意義~最新の知見を踏まえて~」で講師は慶応義塾大学医学部リウマチ内科教授竹内勤先生でした。竹内勤先生は日本における関節リウマチ診療の第1人者の一人です。MTXは関節リウマチ治療のアンカードラッグという位置づけで、標準的には6mg/週で開始し4~8週間で効果不十分なら増量するということです。竹内勤先生はMTX投与増量のコツなどを紹介して下さいました。葉酸はMTXの副作用を低減させるためにMTX最終服用後24~48時間に服用することが勧められますが、服用するタイミングが大切です。患者さま自身がサプリメントなどにより葉酸を服用されるとMTXの効果が減弱してしまうので、竹内勤先生は患者さまに普段通りの食生活をされるように勧めておられるということでした。MTX効果不十分で生物学的製剤注射を追加するときには、MTX継続が望ましいがMTX減量は可能であるということでした。生物学的製剤注射の関節破壊抑制効果はMTX併用で増強するそうです。

今回の日本整形外科学会学術総会パンフレットなどには手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」がモデルとして使われています。今学会の会長が大阪大学大学院医学系研究科期間制御外科学(整形外科)教授吉川秀樹先生ですので、手塚治虫氏も大阪大学医学部出身であったことも関係しているのかもしれません。手塚治虫氏は医師免許を取得しましたが、漫画家として大活躍されました。手塚治虫氏はかつて奈良県立医科大学の研究生となり医学博士を取得されたそうです。手塚治虫氏と我が母校とに関連性があっただなんて、なんだか嬉しい気がしました。

待ち時間のお知らせ (5月18日~5月23日)

2015年05月23日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

5月18日~5月23日

リハビリ通信 No.153 結帯動作について

2015年05月21日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

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「結帯動作」とは、手を後ろに回す動作です。ズボンの後ろポケットに手を入れる、シャツをズボンの中に入れる、そして女性であれば下着の着脱を行う動作になります。

肩関節周囲炎を患っている患者さんでは、この結帯動作時に可動域制限や痛みのために動作ができないということが多く、改善すべき動作の一つだと考えます。このような制限を認める方は、肩甲上腕関節の上方に位置する組織(棘上筋、棘下筋、肩峰下滑液包、など)での問題を抱えている場合が多く、理学療法ではこれらの組織の拘縮(固まっている状態)、癒着や滑走障害を改善するような治療を行います。そして、この治療ターゲットとなる部分は肩関節周囲炎による炎症が波及した部分であり、且つ神経分布が豊富なため、無理な動きが入ると非常に強い痛みを伴います。

当院の理学療法士は、痛みを出さないように細心の注意を払いながら治療をおこなっております。

リハビリテーション科 小野正博