骨粗しょう症の治療を始める方、治療中の方は、歯科医院でお口のチェックを受けることが推奨されています。
骨粗しょう症の治療に使われる薬のうち、ビスホスホネート製剤や抗ランクル抗体薬の使用中に、口の中が汚れている、歯周病、不適切な義歯、抜歯などの外科処置などの要因が一つでも加わると「顎骨壊死」を発症する可能性があるそうです。
「顎骨壊死」とは、あごの骨の組織や細胞が局所的に死滅し、骨が腐った状態になる病気です。口の中にはたくさんの細菌が存在しますので、骨が露出した状態で細菌感染が起こると「顎骨壊死」が引き起こされるということです。「顎骨壊死」は一度発症すると非常に治りにくい病気なので、なにより予防が大切であるということです。
三重県では「顎骨壊死」を引き起こさないために、歯科と医科の連携を強める取り組みをしています。
前腕には橈骨と尺骨の2本の骨がありますが、親指側にある橈骨の手首に近いところで起こる骨折のことを橈骨遠位端骨折といいます。転んで手のひらを地面につくことで発生しやすく、骨粗鬆症のある女性に多いですが、若い人でも高所からの転落や自転車での転倒などで受傷することがあります。
症状は手首に強い痛みがあり、短時間のうちに腫れてきます。症例によって違いはありますが、手のひらをついて転んだあとでは、食器のフォークを伏せて置いたような変形がみられることがあります。(フォーク状変形)手がブラブラで力が入らず、反対側の手で支えなければならなくなります。時には折れた骨や腫れによって神経が圧迫され指がしびれることもあります。
治療は転位が少なく、良い形を維持できるようであれば、ギプスやシーネ固定などの保存治療が行われます。骨折部のずれが大きい場合や開放性、粉砕が著しい場合は手術治療が選択されます。
骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 整形外科看護 第26巻12号 2021