骨粗鬆症が原因で起こる骨折の中の一つが橈骨遠位端骨折(手首の骨折)です。椎体(背骨)、大腿骨近位部(足の付け根付近)の骨折に次いで多いとされています。
肘から手首までには橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2本の骨がありますが、親指側にある橈骨の手首に近い部位での骨折のことを指します。転んで手をついてしまったと訴えて来院される患者様がほとんどで、もう片方の手で支えないと我慢できないような強い痛みを伴います。
この骨折は50歳代後半から増加し、60~70歳代が最も高いとされています。また受傷場所は屋外が多く、活動性の高い、比較的若い高齢者が多いという特徴があるようです。
治療法は日常生活や全身状態、骨折の状態によって判断します。ギプスや装具の固定による保存的治療を行う場合や、手術治療を行う場合もあります。骨折前の可動域を獲得するために、リハビリ治療が必要な場合もあります。
橈骨遠位端骨折は連鎖する脆弱性骨折の最初に起こる骨折であるとされています。骨折の治療と並行して骨粗鬆症治療を開始し、長期に継続してもらうことで骨折の連鎖を防止することが重要であると言われています。健康で自立した生活をより長く送っていただけるよう私達も治療に対する支援をさせていただきたいと思います。
骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂
参考文献
整形外科の疾患&治療 津村弘監修 メディカ出版 2017
整形外科看護 第22巻12号 メディカ出版 2017
母指CM関節周辺の痛みを有する方は非常に多く、このような場合、同部位(CM関節)の変形性関節症を疑います。しかし近年、このCM関節のすぐ横に位置するSTT関節における関節障害との鑑別が非常に重要であるという報告が散見されるようになってきました。
STT関節とは、舟状骨(Scaphoid)、大菱形骨(Trapezium)、小菱形骨(Trapezoid)から構成される関節(下図を参照)であり、母指CM関節のすぐ隣に位置するために疼痛部位もCM関節症の疼痛と非常によく似ています。しかし、このSTT関節は手関節の運動に関与する関節です。一方、母指のCM関節は母指の運動に関与するため、両者の関節障害を鑑別するためには「母指の運動で疼痛が誘発されるのか」、または「手関節の運動によって疼痛が誘発されるのか」を評価すればどちらの問題なのかが判断できます。
当院では、このように責任病巣がどこなのかを的確に評価できることを目指して運動療法を実施しています。
リハビリテーション科 小野正博
肩関節の外旋・内旋は上腕骨の動きですが、教科書的には肘を軸とし尺骨を基準に角度を測ります。
参考可動域は外旋60°内旋80°です。
肩関節周囲炎では特に外旋が制限されること多く、健側と比較すると角度の差を認めます。この時は肩甲骨で代償してしまう場合もあるため、両側で行うと分かりやすいと思います。
リハビリテーション科 堤 豊