脳梗塞とは、脳血管が血栓により閉塞し、脳血流が低下することで酸素や栄養が脳神経細胞へ行かず壊死してしまう病気のことをいいます。脳が虚血に陥ると閉塞した血管の支配領域の中心部(梗塞部分)と、その周辺部分をペナンブラといいます。(上図)
ペナンブラとは、機能障害の状態になりますが神経細胞は、生存しているので速やかに血流を開通させることで、梗塞への移行を阻止できると期待される部位となります。
脳梗塞の急性期の治療の狙いとして、このペナンブラ領域を救うことであり、治療方法の一つとしてT-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)があります。薬剤を投与することで閉塞させている血栓を溶かし、血流を急速に改善させる効果がありますが使用方法を誤ると出血し、重篤な合併症が生じる危険性があります。また、発症後3時間以内に投与しなければなりません。
脳梗塞の前駆症状として意識障害や感覚障害、手足が動かない、呂律が回らないなどが挙げられるので、このような症状が生じたらすぐに救急車を呼ぶことが大切になります。
リハビリテーション科 服部 司
母指CM関節症とは、母指(親指)の付け根にある関節(図1)の変形性関節症であり、物を把持した時、親指と人差し指で物をつまむ動作で痛みが生じるのが特徴であり、日常診療の中でよく遭遇します。このCM関節症の治療法は「装具により固定する保存療法」と「手術療法」の2つがありますが、まずは保存療法が行われ、それが無効だった場合、外科的治療が行われます。
保存療法としては、患部を使うと痛みが生じてしまうため、固定による患部の局所安静、関節の安定化を目的とした装具(図2)をしばらくの間装着する方法が行われます。しかし、この装具は患部の動きを完全に制動できるものではなく、「装具をつけていてもなかなか痛みが取れない。」という声もよく聞きます。したがって、本疾患に対する保存療法はまだまだ課題がたくさんあり、改良していかなければならない分野です。
どのように痛みを改善していくのか、どのような治療法が効果的なのかを日々考え、少しでも患者さんの痛みの緩和につながるよう努めていきます。
リハビリテーション科 小野正博