2015 年 8 月 のアーカイブ

待ち時間のお知らせ (8月10日~8月22日)

2015年08月22日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

8月10日~8月22日

リハビリ通信 No.166 Rotator cuffについて

2015年08月21日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

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肩関節は、小さくて浅い臼蓋と広くて大きい上腕骨頭から構成されており、様々な運動に対して安定させるために静的のみならず動的に上腕骨頭を臼蓋に引きつける力が必要となります。その役割を果たしているのがRotator cuffになります。

Rotator cuffとは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋から構成されています。これらが上腕骨頭を包み込むように付着しているので肩関節がどのような肢位においても、筋収縮により上腕骨頭を臼蓋に引きつける力を作用させることができます。

リハビリテーション科 服部 司

「頂点への道」

2015年08月16日(日) 院長ブログ

頂点への道

「頂点への道」錦織圭、秋山英宏著を読みました。

今をときめくプロテニスプレーヤー錦織圭選手のブログをまとめた成長の記録のような内容でした。少年の頃の夢から始まり、プロ選手として活躍を始めて、ケガを乗り越えて徐々にステップアップし、マイケル・チャンコーチとの出会いをきっかけに世界ランキング4位まで上りつめる錦織圭選手の経緯が心情と共に詳細に紹介されています。今更ながらですが、錦織圭選手の歩みが葛藤と挫折、そして自らへの鼓舞の繰り返しであることに感心します。

日本のスポーツ選手の中でも最も世界の頂点に近い選手かもしれませんね。昨日はナダル選手に初めて勝利しましたが、今日は残念ながらマレー選手に敗れたというニュースも入ってきました。この敗戦をバネに今後の錦織圭選手の巻き返しと益々の活躍を期待したいです。

リハビリ通信 No.165 上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー)について

2015年08月15日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

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野球少年にみられる少年期の野球肩の一つとして「上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー)」があります。特にピッチャーに多く、投球フォームと関連性が深いと考えられています。「体が早く開いてしまい、肩が過剰に前へ出てしまっているフォーム」、「投球時に肩甲骨を後ろへ引くことができず、肩が前へ出し、肘が下がってしまっている。」といった肩関節に負担をかけるフォームが原因であることが多いです。

このリトルリーグショルダーは、左上図のような骨の成長線である「骨端線」にストレスが繰り返しかかることで発症するとされており、痛みのために投球ができなくなってしまいます。そして離開した骨端線は右上図にあるようなレントゲン所見となるそうです。

投球障害で問題となっている部位はもちろん「肩関節」ですが、他関節からの影響により、結果として肩関節に負担が増大することで発症することがほとんどであるため、フォームチェックの他、他関節の可動域や筋力をしっかりチェックし、「肩関節にかかる負担の原因」を見つけ出すことが重要となってきます。

当院の理学療法士は、詳細な評価(可動域測定や筋力検査、フォームチェック、など)を行い、投球障害肩の治療を行っています。

リハビリテーション科 小野正博

 

「小児医療現場での子どもの貧困」

2015年08月11日(火) 院長ブログ

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先日開催された伊賀地区学校保健研修会の講演(2)は「小児医療現場での子どもの貧困」で講師は健和会病院副院長小児科医和田浩先生でした。

和田浩先生は、私は「貧困問題のプロ」ではありませんが、一小児科医として貧困問題を考えてくる中で見えてきたこともいろいろあり、それを皆さんと共有したいというようにおっしゃっておられました。私は今まで貧困という視点で医療を考えたことがあまりなかったので、とても興味深く聴かせて頂きました。

和田浩先生によりますと、日本の子どもの相対的貧困率は2009年に15.7%、2012年には16.3%と増加しているということでした。相対的貧困率とは世帯所得の中央値の50%(貧困線)未満の率であると定義されているそうです。ひとり親世帯の貧困率国際比較では日本は58.7%と他国に比してかなり高率であるということでした。なぜ貧困が問題になるのかというと、和田浩先生によりますと貧困は子どもの心身の健康を悪化させるからだそうです。阿部彩著「子どもの貧困」によりますと、子どもの貧困は学力、子育て環境、健康の悪化に繋がり、虐待、非行などの問題や疎外感を生みやすくなるということです。なぜ小児医療現場で貧困が見えにくいのか?ということは、患者さんからは言ってくれないこと、他の困難(虐待、DV、発達障害、外国人、母子家庭、精神疾患、依存症、慢性疾患、若年出産、失業、不安定雇用など)も抱えていることが多く困難が複合している、一人で把握できることに限界があることなどを挙げておられました。それにはスタッフとの共有、地域の連携などが必要であるということでした。和田浩先生によりますと、困難を抱えた親はどんな人たちかというと「助けて」と言えない、コミュニケーションが苦手、不適切な外見・態度、困った人・モンスター・クレーマーなどのこともあり、私たちにネガティブな感情が湧くときに、相手は何か困難を抱えていることが多いということでした。和田浩先生は、私たちに必要なのは「援助したい気持ちになりにくい人たち」を援助する力であると述べておられました。これはなかなか困難で高い壁の様に思われ、和田浩先生の高い志に感服致しました。なぜ「助けて」と言えないのか?ということに関して、雨宮処凜氏によりますと「助けて」と言えるためには2つの条件が必要であるということで、一つは「自分は助けられるに値する、生きるに値する人間である」という自己肯定感、もう一つは他人や社会に対する最低限の信頼感だそうです。つまり相談すれば何とかなる、相談してもばかにされないと思えること、どこに相談すればいいかを知っていることが重要であるということです。和田浩先生によりますと、貧困はたやすく人からこの2つの条件を奪ってしまうようです。

和田浩先生は医療者としてわれわれにできることとして、まず相談にのる、MSW・相談窓口・保健師などにつなげる、困難を抱えながら「助けて」と言えない人たちの思いを代弁する、行動する、などを勧めておられました。実際に何もできないことも多いが、応援していることを伝え勇気づけることだけでも価値あることであると和田浩先生はおっしゃっておられました。和田浩先生は長野県「福祉医療給付制度の改善を進める会」会長を務められたりして活動しておられるそうです。和田浩先生によりますと、医療者としてわれわれに必要な力量とは、深く理解し共感する力、コミュニケーションの苦手な人と上手にコミュニケーションをとり、援助に乗りにくい人を援助する技術、そして一人で抱え込まずにチームで取り組むことなどを挙げておられました。

和田浩先生は医療分野の貧困対策として、医療費窓口無料化が重要であると述べておられました。そして和田浩先生は当事者は声を上げることができない、私たちはその最も近くにいる者として、代わって声をあげなくてはいけない、と述べておられました。和田浩先生の献身的な取り組みに、とても感心致しました。