3月7日、8日に奈良市で第12回日本フットケア学会が開催されました。学会の会長を奈良医大整形外科教授田中康仁先生が務められ、副会長は奈良医大看護学科成人看護学教授石澤美保子先生でした。私は日本足の外科学会には以前から参加しておりましたが、日本フットケア学会に関しては恥ずかしながらあまり認識がありませんでした。本学会は医師、看護師をはじめ様々な職種のコメディカルが参加する活発な学会で、田中教授ももっと整形外科医が関わり注目すべき学会であると指摘しておられました。
私は3月8日の午後のみ参加の予定でしたが午前診が長引いてしまい、ようやく午後2時過ぎにクリニックを出発し、会場に到着すれば閉会まであと2時間あまりという有様でした。なんとか最後のシンポジウム9、フットケアに役立つ糖尿病基礎知識だけは聴くことができました。
天理よろづ相談所病院内分泌内科林野泰明先生は「合併症を克服する!糖尿病合併症とその管理」という演題で糖尿病合併症予防の重要性について紹介して下さいました。日本糖尿病学会は糖尿病患者さんの血糖管理目標値を「HbA1c7%」未満とした「熊本宣言2013」を発表したそうです。そして「熊本宣言2013」のイメージキャラクター?は「くまモン」だそうです。林野泰明先生は当初「くまモン」が体型がぽっちゃりしているのに糖尿病治療のイメージキャラクター?とは合点がいかないと思ったそうです。しかしながら「くまモン」が実は運動神経抜群であるということを知って、成る程!と思ったそうです。
奈良医大附属病院栄養管理部の山口千影先生は「むずかしくない ムリしない 糖尿病食事療法」を講演され治療者の立場ではつい必要以上に厳しくなってしまいがちなことを指摘し、患者さんの立場を理解し簡単な言葉で説明する重要性などを指摘しておられました。またこちらの先入観を覆す意外な食べ物のカロリーの高さなどを紹介して下さり、興味深く聴かせて頂きました。
大阪労災病院勤労者予防医療センター運動指導部門浅田史成先生は「プロが教える糖尿病運動療法」を講演され、糖尿病運動療法指導方法の工夫点などを紹介して下さいました。
医療法人医誠会医誠会病院看護部畑中あかね先生は「糖尿病と仲良く付き合う日常生活」を講演され、フットケアの目標、アセスメントの視点などを紹介し「今までの患者の糖尿病を持ち生活する体験をまるごと理解する視点」を具体的なケアに活かすことの重要性を講演されました。
もっと時間があれば、興味あるセッション、講演も数多くありました。今度は腰を据えて参加してみたいものだと思いました。
先日、伊賀医師会館で三重大学大学院医学系研究科病態解明医学講座麻酔集中治療学教授丸山一男先生の「痛みの考え方」~何を・どのように・効かす?~という講演会があり出席しました。丸山一男先生の講演を聴くのは3回目ですがとてもわかりやすく、丸山一男先生は一段とアクションに磨きをかけておられました。
痛みを伝える神経はおよそ15m/secで電気を伝えるAδ線維とおよそ1m/secで電気を伝えるC線維であり、この時間差が受傷直後の鋭い局所の明瞭な痛みと,次いで1秒くらいしてから鈍い疼くような不快な感じが起こる原因です。Aδ線維を通る刺激は自由神経終末から神経線維を通り脊髄後角を介して瞬時に大脳皮質体性感覚野に到達し、これが痛みの場所の局在を担当します。C線維を通る刺激は約1秒後に体性感覚野に到達すると同時に前帯状回、扁桃体、海馬などの大脳辺縁系にも到達し、これが嫌な感じや不快感を担当します。痛みは不快を伴うわけで、道理で痛みを感じている人は自然と不機嫌で怒りやすくなるわけです。これらの刺激は脳幹に伝わり、そこから疼痛の伝達を抑制する仕組みが働きます。これを下行抑制系といいます。うつ状態では下行抑制系が抑制され、結果として痛みが増悪することが知られています。
痛み刺激の伝導はナトリウムイオンの流入から膜電位上昇、脱分極とつながる電気的な変化であり、治療としては神経での活動電位の発生を抑えることとなります。全ての治療薬は、間接的・直接的に痛みの活動電位を抑制していることになります。
痛みに対して最もよく使用されるNSAIDs(非ステロイド性抗消炎薬)は発痛物質の産生を抑制することで痛みの活動電位を抑制します。局所麻酔薬は神経線維での伝導を抑制することで痛みの活動電位を抑制します。オピオイド、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、N型カルシウムチャネル阻害薬などは脊髄後角に作用し痛みの活動電位を抑制します。抗うつ薬、ノイロトロピン、アセトアミノフェン、オピオイドなどは下行抑制系を促進し抑制系を強めることで痛みの活動電位を抑制します。
丸山一男先生によりますと、これらの薬の組み合わせのエビデンスはないものの作用機序の異なる薬剤を併用し治療効果を高める工夫が必要であるということでした。
大腿脛骨関節(いわゆる膝関節)の正常な関節運動(屈曲・伸展)は、単純に大腿骨顆部が脛骨関節面を転がるのではなく、転がりと滑り運動の複合運動を起こすことによって行われています。
膝関節屈曲に伴い、大腿骨顆部が脛骨関節面上を後方へと移動することをroll back機構といいます。もし後方へと滑ることなく膝関節屈曲運動が行われた場合、大腿骨顆上部後面が脛骨関節面後部と衝突し屈曲制限が起こるので、大腿骨顆部が脛骨関節面上を効率よく運動するために転がりと滑り運動がとても重要になってきます。
変形性膝関節症などの膝関節疾患の膝関節は、軟部組織の柔軟性が低下し、可動域が生じるので、正常な関節運動軌跡を獲得するために理学療法を行います。
リハビリテーション科 服部 司
昨日ラグビーの第51回日本選手権決勝が東京・国立競技場で行われ、パナソニックが東芝を30-21で下しました。パナソニックは三洋電機時代以来となる4年ぶり4回目の優勝を果たし、チーム初となるトップリーグとの2冠を達成しました。
今シーズン、東芝はパナソニックに一度も勝つことができず、試合の序盤はパナソニックの方が東芝を圧倒的に押しこんでいました。ところが東芝がシンビンの選手が出て、一人選手の足りない時間帯をなんとか凌ぎますと、今度は東芝にチャンスが訪れました。そして東芝はチャンスをものにして2トライを挙げ、前半をリードして折り返しました。
しかしながらその後パナソニックは実力を発揮し逆転、後半23分に13点差をつけたときにはもう勝負があったかと思われました。その直後のキックオフで東芝は集中して圧力をかけて、リーチ主将のトライに繋げます。ここで6点差まで迫り、一転勝負の行方がわからなくなりました。この局面で勝負を決めたのはパナソニックSH田中選手の相手SHへのタックルだったと思います。これでPGを得たパナソニックは残り6分で9点差と点差を開き、勝負ありとなりました。
パナソニック田中選手は世界最高峰のスーパーラグビー、ニュージーランドのハイランダーズで活躍中です。今日の試合には参加していませんでしたが、パナソニックの堀江選手もスーパーラグビー、オーストラリアのレベルズで活躍しています。また最近は日本代表の立川選手もスーパーラグビー、オーストラリアのブランビーズに所属しています。この様に世界最高峰で活躍する日本人選手や、ニュージーランド、オーストラリア出身の国代表レベルの選手が多く出場する今日の試合はレベルが非常に高くて、見応え十分の好ゲームでした。
ラグビーの進化によりレベル向上が著しく社会人と学生の差は開く一方で、学生では無敵の帝京大学でさえ社会人の壁を破ることは容易ではありません。実際、今年の日本選手権でも学生チームは全て1回戦で社会人チームに敗れました。これは致し方ないことだと思います。しかしながらこのレベルの高い熱い戦いが、かつての日本選手権のように再び多くの人の注目を集め脚光を浴びるようになることを心から願っています。