8月13日の朝日新聞夕刊にこの様な記事が掲載されました。
膝の痛みに悩む中高年は1800万に上ると推計され、変形性膝関節症の方は要介護になるリスクが5.7倍高くなるそうです。65歳以上の高齢者に限ると35%が膝の痛みに悩んでいることになるそうです。
運動機能低下が要介護になるリスクを高めることが明らかになり、膝に負担のかからない運動を続けることがひざ痛を予防し介護予防にもつながるようです。
日本整形外科学会などで作る「ロコモチャレンジ推進協議会」は、膝痛を予防する運動療法を紹介しています。
それにしても地方に住む人が都会に住む人に比べ、要介護になるリスクが1.6倍高いことは不思議ですね。地方にすむ人の方が公共機関が不便で、歩く機会が少ないからということですが…。これはどうなんでしょうか?
変形性膝関節症の中で、膝蓋骨(膝のお皿)付近で痛みが出ることがあります。階段の上り下りの動作、立ち上がり動作をした時に膝の前面、特に膝蓋骨周辺で痛みが出るのが特徴です。
膝蓋骨の裏面は軟骨に覆われており、大腿骨(太ももの骨)と接することにより関節を形成します。この接触面で膝蓋骨が決まった運動軌跡を辿ることでスムーズな膝の運動が可能となります。
しかし、この膝蓋骨の運動が正常な運動軌跡を辿らない(abnormal tracking)状態になると膝蓋骨の軟骨部で摩擦が生じ、変形や痛みの発生につながります。
膝蓋骨の正常運動軌跡を乱す原因としては様々なものがありますが、その一つとして大腿四頭筋の硬さ(tightness)や筋力低下があります。
大腿四頭筋とは、字のごとく四つの筋肉から構成される筋肉です。最も深層に位置する中間広筋、内側に位置する内側広筋、外側の外側広筋、そして表層にある大腿直筋からなります。
これら四つの筋の柔軟性、筋力がバランス良い状態であれば膝蓋骨の運動は正常な軌跡を辿ります。しかし、このバランスが崩れてしまうと膝蓋骨の運動軌跡が乱れてしまうことになり、膝蓋骨裏面の軟骨が摩耗していきます。
(例)外側に位置する外側広筋が硬い場合
→膝蓋骨は外側へと引っ張られ、外側に偏った運動軌跡となります。
我々理学療法士はこの大腿四頭筋の柔軟性・筋力を評価し、膝蓋骨が正常な運動軌跡を辿るように治療を行います。
リハビリテーション科 小野正博
当クリニックでは下記の期間、夏期休業とさせて頂きますのでご案内いたします。休業期間中は何かとご迷惑をおかけすることと存じますが、ご容赦くださいますように何卒よろしくお願い申し上げます。
夏期休業期間 2013年8月12日(月)~8月15日(木)
関節が正常に動くためには関節を構成している骨の動きに制限がなく周辺の軟部組織の柔軟性・滑走性・可動性・安定性が必要です。例えば①関節の動作をコントロールする筋肉 ②関節からの情報を感知し必要な動作をフィードバックしながら微調整する指令を送る神経 ③循環・栄養にかかわる血管系 ③皮膚・靱帯・関節包は関節の保護・安定に働きます。
逆に関節が運動制限をきたす場合は、
a外傷・疾患による一次的障害因子である骨折・捻挫・脱臼・靱帯断裂・変形性関節症
b二次的障害因子である麻痺・疼痛
c肥満・筋肥大・年齢などの生理学的因子・関節構成組織の個人的特性
以上の3点が考えられます。理学療法では評価をし、各々に適した治療を実施します。
リハビリテーション室長 見田忠幸