2013 年 3 月 のアーカイブ

「最新のリウマチ診療」

2013年03月03日(日) 院長ブログ

先日、第50回伊賀地区整形外科懇話会で独立行政法人国立病院機構三重中央医療センターリウマチ科甲斐基一先生の「最新のリウマチ診療」という講演があり出席しました。

関節リウマチは2010年に新しい診断基準が示され、新しい診断基準では関節破壊が進行する前の患者様でも関節リウマチと診断することができるようになりました。発症早期の患者様を診断できる基準を用いて早期診断を行い、早期治療を開始することが非常に大切であると言われています。

診断にあたっては鑑別診断が重要で、甲斐基一先生はいくつかの鑑別診断となる疾患を解説して下さいました。しかしながら中には難易度の高い鑑別診断もあるようです。

現在、関節リウマチのアンカードラッグ(中心的薬剤)と言われているのはメトトレキサート(MTX)です。MTXは抗リウマチ剤の中でも生命予後を改善することが報告されており、関節リウマチにおいて最も使用される頻度が高い薬剤の一つです。MTXは免疫を抑制する薬ですので、感染症のリスクをスクリーニングする必要があります。特にB型肝炎や結核に対する注意が必要です。また腎機能障害や肝機能障害、肺障害にも注意を払わなければなりません。

甲斐基一先生はMTX服用中患者様向けの注意事項として、(1)飲み忘れたときは後で服用しない。(週に1日か2日だけ服用する薬です。)(2)脱水時には服用しない。(3)お酒はできるだけ控えるように。(4)避妊を確実に。(5)外科的治療前後は慎重に。(6)空咳、息切れ、発熱時は胸部レントゲン撮影を。(7)体調不良時は医師に相談を。などの項目を挙げておられます。

このあたりは患者様への更なる注意喚起が必要ですね。

発症早期の若年で関節リウマチの活動性の高い患者様や肺の状態の悪い患者様は医療センターや大学病院などのリウマチ科での積極的な治療が必要になるために早期に紹介することが望まれると、甲斐基一先生は勧めておられました。

リハビリ通信 No.61 筋膜について

2013年03月02日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

筋膜は簡単に言うと筋を覆う膜です。

働きとしては①筋を区分けしている②筋の引っ張る力に対する強さを持っている③筋の張力を腱に伝える働きを持っている④筋の滑走性を高めるなどがあります。

実際の臨床では筋の打撲・骨折など炎症が起きると、筋膜と言う容器があることにより筋の内圧を一層、高め疼痛が出現し、関節が動かしにくい状態になります。また、発症経過後、筋と筋膜に癒着が起きると拘縮の一要因になります。

人間の体は筋肉と骨の働きだけで、スポーツ・日常生活の動作を行うのではなく、その他の軟部組織も関与して動作を遂行しています。治療は様々な軟部組織の影響を考慮しながら進める必要があります。

リハビリテーション室長 見田忠幸