映画「のぼうの城」を観ました。
天下統一目前の豊臣秀吉に命じられた石田三成率いる2万超の軍勢に、農民らを含めて2千強の軍勢で挑んだ成田長親の史実に基づく物語です。
成田長親は領民からも「でくの坊」を揶揄した「のぼう様」と言われ将に求められる智も仁も勇もない、いかにも頼りない領主です。その武将としては失格とも言える領主が、人に好かれる才能を活かして人心を掌握し味方を鼓舞して力を結集する様はなかなか痛快です。
行く先の見えない道を切り開いたのは、主人公の本気度と人柄と伝達力(伝染力?)でしょうか?これをカリスマ性というのでしょうね!
成田長親は極限の勝負所で大勢の人々の前で、まさに大芝居を打って見せました。そして腕に自慢の錚々たる部下達や身分の違う多くの農民達まで、見事に多くの人々の心を束ねていました。
権力を振りかざすリーダーばかりが注目される中、リーダーのあり方に一石を投じていると言えるかも知れませんね。
先週、名賀医師会主催の小児救急医療研修会が開催されました。講師は大阪市で開業しておられる(医)福田診療所院長福田弥一郎先生でした。演題は小児外傷の湿潤療法について「開業小児科医の熱傷治療経験~湿潤療法ならここまで出来る~」でした。
湿潤療法は従来の消毒、ガーゼという創傷、熱傷処置を行わず創部の湿潤状態を保持することにより、より疼痛少なく早期に創部を治癒させるという治療法でかなり広まってきていると思います。しかしながらいわゆる「ラップ療法」により感染症を生じたり重篤な敗血症に陥った例も報告されているということで、日本熱傷学会は医師が熱傷治療において非医療材料を用いることは厳しく制限されるべきであると勧告し、注意喚起を促しています。また「湿潤療法」で、どの程度の熱傷範囲や重傷度までクリニックで治療が可能であるのかという問題や、創傷被覆材の償還期間の制限、創傷被覆材が高価であるということ、また必要な病名の問題など様々な課題があるように思われます。
福田弥一郎先生は皮膚科、形成外科の専門ではないけれども、と謙遜されながらもⅢ度熱傷も含めた多くの治療経験を紹介して下さいました。とても困難な重度と思われる熱傷症例に対しても、適切な被覆材を選択し感染に注意しながら工夫してきれいに治療しておられました。
大変参考になりました。
平成24年12月から名張市応急診療所の受付時間が変更になります。
診療時間は平日夜間午後8時から午後11時まで、日曜・祝日、年末年始(12/31~1/3)は午前9時から正午、午後3時から午後5時、午後8時から午後11時と変更ないのですが、受付時間が上記診療時間「終了時刻の30分前まで」に変更になりました。
ご来院の際にはお気をつけください。
骨折などの外傷後にギプス固定となった場合は、循環障害や機能障害を防ぐために、なるべく患部を心臓より高い位置に保持すること、周囲の関節や筋肉を積極的に動かすことが重要となります。
例えば、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)をしてギプス固定となった場合、手を心臓より低い位置にしていると腫れが溜まりやすく、ギプスでの圧迫などにより循環障害を起こしてしまう可能性があります。そのため、寝ている時も起きている時も、手を心臓よりも高い位置に保持することで血液やリンパ液が心臓へ戻りやすくなるように注意します。
そのうえで、ギプスから出ている指の関節を動かせる範囲いっぱいまでしっかりと動かして筋肉を収縮させることで、血行を良くし、関節が固まること(拘縮)や筋力低下をできる限り予防します。特に、指の付け根の関節(MP関節)を十分に動かすことがポイントとなります。
また、骨折部の固定性が良好で、医師の許可があれば、固定している手関節をギプスの中でギプスに押し当てるようにして軽く動かすこと(ギプス内等尺性収縮)や手関節の固定に影響のない部位(前腕など)をギプス開窓して、開窓部から筋肉などを徒手的に動かして柔軟性の維持を図ることも効果的です。
ギプス固定中は、折れた骨を治すだけでなく、できる限り患部周辺の機能を維持することがその後の日常生活をより快適に過ごすために重要となります。
リハビリテーション科 奥山智啓
先週、独立行政法人国立病院機構千葉医療センター整形外科、古志貴和先生の「運動器慢性疼痛とオピオイド」という講演を聴きました。
古志貴和先生は疼痛の研究を専門とする新進気鋭の整形外科医、脊椎外科医です。
オピオイドは鎮痛薬で、手術中・手術後の痛み、外傷による痛み、分娩時の痛み等の急性痛や、がんによる痛み、神経が損傷された後などに長期間続く慢性痛に対して用いられます。オピオイドには鎮痛作用以外に便秘、嘔気・嘔吐、掻痒感、尿閉、眠気、呼吸抑制など様々な副作用があります。オピオイドは麻薬と混同されがちですが、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬に指定されている薬剤が麻薬であり、オピオイドとは異なります。
神経細胞の可塑化(変性してもとに戻らなくなってしまうこと)の問題もあるので、古志貴和先生は運動器慢性疼痛に対してオピオイドを含めた早期介入の必要性を説いておられました。
しかしながらオピオイド投与はまだまだ慣れの問題もあって、どうしても躊躇いを感じてしまいがちですね。
国際疼痛学会の定義では「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」となっています。
うーん、なかなか難しいですね。まだまだ私自身十分に理解しているとは言えません。今後もっと勉強して、理解を深めていきたいと思います。
古志貴和先生は今後の展望として、神経伝達物質およびサイトカインなどをターゲットとする治療が今後主流になるであろうと推測しておられました。