リハビリ通信 No.346 運動軸について
2022年04月03日(日) QAリハビリテーション科1新着情報
関節が曲がる、伸びると言う動作が起きた場合、関節を支点に関節を中心とした運動動作状態を関節運動と言います。関節運動は、その運動の行う一方向を規定して、運動の軸を設定します。例えば膝関節の屈曲・伸展運動の軸は大腿骨の外側上顆と内側上顆を結ぶ線を一つの運動軸とします。その運動軸を支点に脛骨が移動し膝関節の屈曲・伸展と言う関節運動が成立します。 理学療法で膝関節の関節可動域を治療する時に、内側上顆と外側上顆を結ぶ運動軸が水平と考えた場合、本来の生理機能解剖学的な膝関節の運動からは逸脱しており、関節可動域の治療をすると膝関節の周辺軟部組織にかかる負担は大きいものと考える事ができます。 内側上顆と外側上顆を結ぶ本当の膝関節の運動軸は外側前上方より内側後下方へ、斜めに運動軸は存在します。 膝関節の屈曲・伸展はこの運動軸に沿って施行する事が負担のかからない本当の生理機能解剖学的な関節運動になります。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
骨粗鬆症とともに Vol.56 骨密度は正常なのにどうして骨折するの?
2022年03月27日(日) 新着情報1骨粗鬆症
残念ながら骨折を起こして来院された患者さんから、骨密度は正常だったのにどうして骨折してしまうの?と聞かれることがよくあります。骨密度の結果では問題がなかったのに、骨折をおこしてしまうのはどうしてなのでしょうか。 そもそも骨の強さである骨強度は、骨密度(70%)+骨質(30%)で決まっています。鉄筋コンクリートでできているビルを骨に例えて考えてみます。骨密度がコンクリートで骨質が鉄筋です。コンクリートが丈夫でも、鉄筋がさびていては構造上弱くなります。つまり一見同じビルでも、中の鉄筋がさびていてはビルが壊れる可能性があるように、骨密度は正常でも骨質が劣化した状態では骨が脆くなり、骨折を起こしやすい状態になるということです。 最近では市の検診などで骨密度を測定する機会が増えてきていますが、数値に関係なく若い時に比べて背が小さくなったと感じたり、背中が曲がってきたなと感じたりした方は骨粗鬆症になっている可能性がありますのでご相談いただくことをお勧めします。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂 参考文献 整形外科看護 第27巻3号(通巻344号) メディカ出版 2022 |
リハビリ通信 No.345 肩甲上腕リズムについて
2022年03月21日(月) QAリハビリテーション科1新着情報
肩関節の挙上動作(手を挙げる動作)には上腕骨の動きに追随するように肩甲骨の運動が伴います。肩関節の挙上動作における上腕骨と肩甲骨の協調性は肩甲上腕リズムと呼ばれており、上腕骨に対する肩甲骨の動きは2:1という一定の度合いで動いていることが報告されています(図1)。 この肩甲上腕リズムの乱れは、肩関節の挙上制限や疼痛に関与することが考えられています。肩甲上腕リズムは、加齢や姿勢、肩周囲組織の硬さおよび筋力低下が影響します。 リハビリテーション科 河田龍人 |