
リハビリ通信 No.139 足関節の靭帯について
2015年01月25日(日) QAリハビリテーション科1新着情報
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足関節の靭帯には、外側側副靭帯と三角靭帯があります。 外側側副靭帯には、腓骨の外果から起始する前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の3つからなり、足関節の外側を補強します。三角靭帯には、脛骨の内果から起始する脛舟部、脛踵部、後脛距部、脛舟部の深層にある前脛距部の4つからなり、足関節の内側を補強します。外側側副靭帯、三角靭帯ともに足関節の肢位により靭帯の緊張部位が変化し、足関節背屈すると前方の靭帯が弛緩、後方の靭帯が緊張し、底屈すると前方の靭帯が緊張、後方の靭帯が弛緩します。 臨床上、最も発生頻度の高い損傷として外側側副靭帯の損傷が挙げられます。外側側副靭帯の損傷は、スポーツ活動時の内反捻挫の際に生じることが多いです。 理学療法として、急性期にはアイシングや浮腫管理を行います。その後、靭帯の修復過程を考慮しながら軟部組織の癒着予防、関節可動域や筋力の改善を図り、軽い運動から開始し、徐々に負荷を上げながらスポーツ復帰を目指しています。 リハビリテーション科 服部 司 |


アキレス腱断裂保存治療
2015年01月20日(火) QA整形外科1新着情報
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荷重ギプスを用いた新鮮アキレス腱断裂保存治療に関する文献を紹介します。 Simon W Y, et al. Weight-Bearing in the nonoperative treatment of acute Achilles tendon ruptures. J Bone Joint Surg Am.2014 Jul;96:1073-9. (背景) アキレス腱断裂の発生率は増加している。しかし新鮮断裂に対する治療のコンセンサスは欠けている。この研究の目的は新鮮アキレス腱断裂に対して荷重ギプス治療と従来のギプス治療の結果を比較することである。 (方法) 新鮮アキレス腱断裂症例84例が2年以上治療された。無作為にべーラーアイアン荷重ギプスかまたは非荷重ギプスで8週間治療された。6ヶ月後とその後1年と、2年後に筋力テストを施行した。第1の結果は再断裂率、仕事復帰までの期間が調査された。第2の結果はスポーツ復帰、足関節痛、足関節の固さ、履き物の制限、患者満足度が調査された。 (結果) グループ間で治療前の患者背景、活動レベルに差はなかった。2年後のフォローアップ時に荷重ギプス群37例中1例3%、非荷重ギプス群37例中2例5%に再断裂を認めた。有意差なし。1年後に荷重ギプス群はより主観的な固さが少なかった。仕事復帰の期間、Leppilahtiスコア、患者満足度、疼痛、スポーツ復帰の期間には有意差がなかった。 (結論) アキレス腱断裂に対する保存治療として荷重ギプスを用いることは少なくとも非荷重ギプスによる治療と同等以上の結果が得られる。再断裂率も低く、アキレス腱断裂に対する第1の保存治療として続けて使用されることが支持される。 荷重できる工夫したギプスにより早期から全荷重させても、免荷ギプスに比べてあまり臨床成績が変わらなかったので、荷重ギプスが勧められるということでした。最近では装具とウエッジ型の可変式の補高を用いて同様の治療を行われることもあります。 |

リハビリ通信 No.138 腱移行術について
2015年01月18日(日) QAリハビリテーション科1新着情報
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外傷や麻痺により、筋肉の機能しなくなってしまった、または改善が見込めない場合、その機能を再建する目的に「腱移行術」という手術が行われます。 当院にも、そのような手術を受けられた患者様が来院され、術後の理学療法を行うことがあります。「腱移行術」では、損傷・麻痺が生じた筋肉を切離し、他の筋肉へと縫着させることで機能再建を試みます。しかし、手術をした後、すぐ思うように動かせるというわけではなく、少しリハビリをしなければうまく使えません。例えば、指を伸ばす筋肉が作用しなくなり、手関節を曲げる筋肉へと移行するような手術が行われた場合、頭の中で「指を伸ばそう。」と思っても、指が伸びないです。それは、手関節を曲げる筋肉につなげているからです。つまり、頭の中での「手首を曲げよう。」という指令のもとに指が伸びることになります。このように、もともとあった筋肉固有の作用とは異なる働きで運動を完成させなければならないため、リハビリが必要になります。 我々理学療法士は、手術によって機能再建を図った筋肉を最大限に使えるよう運動をサポートし、運動制限の改善に努めます。 リハビリテーション科 小野正博 |










