
リハビリ通信 No.140 肩関節腱板断裂について
2015年02月01日(日) QAリハビリテーション科1新着情報
上腕骨と肩甲骨で構成されるのが一般的に肩関節と言われる肩甲上腕関節です。上腕骨と肩甲骨は軟部組織(筋・靭帯・関節包)で繋がっています。 腱板断裂はcuff筋(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋)の停止部で上腕骨の付着部に向かう腱の一部が断裂をします。原因としては加齢による変性、スポーツによるオーバーワーク、転倒・外傷により断裂します。断裂と言うと真二つに切れるイメージがあると思いますが、浅層・深層部位で裂けていたり穴があいていたり多種多様にあります。 腱板断裂が起きた場合、断裂部位や範囲により手術による治療か、保存療法(手術をしない治療)かを選択します。腱板断裂の特徴として小さな断裂は知らない間に治癒している方も結構います。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |


リハビリ通信 No.139 足関節の靭帯について
2015年01月25日(日) QAリハビリテーション科1新着情報
足関節の靭帯には、外側側副靭帯と三角靭帯があります。 外側側副靭帯には、腓骨の外果から起始する前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の3つからなり、足関節の外側を補強します。三角靭帯には、脛骨の内果から起始する脛舟部、脛踵部、後脛距部、脛舟部の深層にある前脛距部の4つからなり、足関節の内側を補強します。外側側副靭帯、三角靭帯ともに足関節の肢位により靭帯の緊張部位が変化し、足関節背屈すると前方の靭帯が弛緩、後方の靭帯が緊張し、底屈すると前方の靭帯が緊張、後方の靭帯が弛緩します。 臨床上、最も発生頻度の高い損傷として外側側副靭帯の損傷が挙げられます。外側側副靭帯の損傷は、スポーツ活動時の内反捻挫の際に生じることが多いです。 理学療法として、急性期にはアイシングや浮腫管理を行います。その後、靭帯の修復過程を考慮しながら軟部組織の癒着予防、関節可動域や筋力の改善を図り、軽い運動から開始し、徐々に負荷を上げながらスポーツ復帰を目指しています。 リハビリテーション科 服部 司 |


アキレス腱断裂保存治療
2015年01月20日(火) QA整形外科1新着情報
荷重ギプスを用いた新鮮アキレス腱断裂保存治療に関する文献を紹介します。 Simon W Y, et al. Weight-Bearing in the nonoperative treatment of acute Achilles tendon ruptures. J Bone Joint Surg Am.2014 Jul;96:1073-9. (背景) アキレス腱断裂の発生率は増加している。しかし新鮮断裂に対する治療のコンセンサスは欠けている。この研究の目的は新鮮アキレス腱断裂に対して荷重ギプス治療と従来のギプス治療の結果を比較することである。 (方法) 新鮮アキレス腱断裂症例84例が2年以上治療された。無作為にべーラーアイアン荷重ギプスかまたは非荷重ギプスで8週間治療された。6ヶ月後とその後1年と、2年後に筋力テストを施行した。第1の結果は再断裂率、仕事復帰までの期間が調査された。第2の結果はスポーツ復帰、足関節痛、足関節の固さ、履き物の制限、患者満足度が調査された。 (結果) グループ間で治療前の患者背景、活動レベルに差はなかった。2年後のフォローアップ時に荷重ギプス群37例中1例3%、非荷重ギプス群37例中2例5%に再断裂を認めた。有意差なし。1年後に荷重ギプス群はより主観的な固さが少なかった。仕事復帰の期間、Leppilahtiスコア、患者満足度、疼痛、スポーツ復帰の期間には有意差がなかった。 (結論) アキレス腱断裂に対する保存治療として荷重ギプスを用いることは少なくとも非荷重ギプスによる治療と同等以上の結果が得られる。再断裂率も低く、アキレス腱断裂に対する第1の保存治療として続けて使用されることが支持される。 荷重できる工夫したギプスにより早期から全荷重させても、免荷ギプスに比べてあまり臨床成績が変わらなかったので、荷重ギプスが勧められるということでした。最近では装具とウエッジ型の可変式の補高を用いて同様の治療を行われることもあります。 |
