


リハビリ通信 No.227 受動喫煙防止対策案について
2017年01月29日(日) QAリハビリテーション科1新着情報
厚生労働省は2020年東京五輪・パラリンピックに向け喫煙範囲を狭める「受動喫煙防止対策案」について罰則付きの法制化を目指しています。 厚生労働省は各関係団体から聴取を行なったところ反対意見が相次ぎ強い批判が起こりました。厚生労働省がまとめた受動喫煙防止策の案では①医療機関、小学・中学・高校は敷地内禁煙 ②官公庁・社会福祉施設・運動施設(スタジアムなど)・大学は建物内禁煙 ③飲食店・ホテル・旅館などのサービス業施設、事務所(職場)・オフィス・ビルなどの共用部分、駅・空港ビル・船着き場・バスターミナルは原則的に建物内禁煙(喫煙室設置可)④バス・タクシーは全面禁煙 ⑤鉄道・船舶は原則禁煙(喫煙設置可)以上の案をまとめました。 しかし、各団体から様々な反対意見が出ており、足並みは揃っていない、例えばバー・スナックが加盟する全国飲酒業生活衛生同業組合では小規模な施設では喫煙所を設置できないとする意見が出ています。日本旅行協会も宴会場については規制対象からの除外を希望しパチンコ業界団体はパチンコ参加人口1070万人のうち推定される喫煙者は43%と高く完全分煙を実施すると客離れが進むと危機感を持っています。医療界でも日本ホスピス緩和ケア協会から生命予後の短いがん患者が多数入院する病棟では、患者の喫煙習慣に配慮して喫煙を許可している事情があるため、意見がまとまっていません。また、「電気加熱式たばこ」についても罰則対象に含めることも検討しています。 喫煙に対する諸外国の常識と日本国内の常識が乖離しており、スモークフリー社会に向け、厚生労働省が中心になって法制化に向け推し進めたいとしているが難航も予想されます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |


骨粗鬆症とともに Vol.2 骨のリモデリング
2017年01月25日(水) 新着情報1骨粗鬆症
前回の内容の中で骨粗鬆症の原因のひとつについて、成人後新しく造られる骨の量よりも、壊して吸収されていく骨の量のほうが多くなるというお話をしました。このように人間の体の中では一生休むことなく古くなった骨を壊して、新しい骨をつくって入れ替えが行われていて、1年間で体の中の骨の約10%が新しくなると言われています。このような骨の新陳代謝機能のことを骨のリモデリングといいます。 骨のリモデリングには古くなった骨を壊して吸収していく破骨細胞と、新しく骨をつくる骨芽細胞が主に作用しています。骨のリモデリングは破骨細胞が骨吸収を始めるところから開始されます。破骨細胞が骨の表面にはりついて、酸や酵素で骨を溶かします。この過程を骨吸収と呼びます。破骨細胞による骨吸収が進むと骨芽細胞が出現します。骨吸収が進んでへこんだ骨の部分に集まってきた骨芽細胞は、コラーゲンを分泌しハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの一種で、骨や歯の主成分)を沈着させて骨を形成します。これを骨形成と呼びます。一連のリモデリングは約3ヵ月の周期で行われ、成長期から成長完了後も生涯にわたって繰り返されます。 骨粗鬆症とは骨の脆弱性が進行し、骨折しやすい状態にある全身的な骨の病気です。骨粗鬆症を予防するためには各骨のリモデリング部位における骨吸収と骨形成は等しくなければなりませんが、骨粗鬆症の状態ではリモデリングはバランスよく行われていない状態にあります。 骨のリモデリングが不均衡を起こす原因には、新しい骨を造る骨芽細胞の活性化が悪いことや、石灰化に必要なカルシウムの不足、ビタミンDの欠乏、骨吸収が異常に活性化するなど、吸収された骨量を骨形成によって十分に補充できないと骨密度は低下してしまいます。 骨代謝の状態を知るには血液や尿の検査が必要です。骨粗鬆症治療に適切な薬の選択、薬の効果を評価するための指標となります。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版、骨粗鬆症治療の予防と治療ガイドライン作成委員会編集、ライフサイエンス社 2015 骨粗鬆症の最新治療、石橋英明監修、主婦の友社、2016
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