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骨粗鬆症とともに Vol.64 NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)は、なぜ胃潰瘍に注意が必要?

2023年02月03日(金) 新着情報1骨粗鬆症

急性腰痛で起こる疼痛や変形性関節症などの慢性疼痛は、日常の診察場面で患者さんからよく聞かれる症状です。このような痛みに対する薬物療法では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)が選択されることが多いですが、NSAIDS内服では、胃潰瘍や消化管出血などの消化管障害が出やすくなるため注意が必要です。

人の身体では、外傷などによる組織損傷により遊離された物質にCOXという物質が作用することで痛みの原因となるプロスタグランジンが発生します。そのため、このCOXという物質を阻害し、痛みの原因となるプロスタグランジンの産生を抑制するというのがNSAIDSの作用機序です。しかしこのCOXは胃粘膜保護の恒常性維持に関与しているため、リスクが高まるのです。

このようなことから胃潰瘍の既往がある方や、高齢者ではNSAIDSの処方は特に注意が必要です。当院でも患者様の既往歴や状態の把握、予防薬の処方や長期服薬を避けるなど、NSAIDSの処方は慎重に行われています。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

参考文献 整形外科看護 第27巻3号 メディカ出版 2022