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リハビリ通信 No.328 痛みの病態について

2021年06月10日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

痛みの要因にはメカニカルストレス由来とケミカルストレス由来によるものとがあります。メカニカルストレスの場合、軟部組織の短縮・癒着・拘縮が原因となり圧迫・伸張・牽引刺激による疼痛発症、ケミカルストレスの場合、炎症物質による化学物質刺激が原因となり疼痛発症が考えられます。侵害受容器には機械的侵害刺激、炎症などに伴うケミカルメディエーター(ブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミン、カリウム)が働くと神経は興奮性が亢進し痛みを伝達しやすくなります。この様な病態下ではpH低下が起こり、疼痛・違和感が発症することが知られています。また、痛覚線維は筋線維を含む結合組織である筋膜、細動脈の周囲および筋と腱の結合部に見られ、毛細血管や筋線維には痛覚線維は分布しないと言われています。

運動により筋腱付着部に機械ストレスが加わると骨膜、腱に微細な断裂、腱膜炎、骨膜炎腱炎が生じ断裂を起こし剥離部分では局所的な出血、炎症が起きます。結果、痛覚線維の自由神経終末を刺激し、疼痛・違和感を生じると考えられます。

理学療法ではメカニカルストレス由来の疼痛である癒着・拘縮の改善が治療対象になります。ケミカルストレス由来である炎症要因の疼痛は医師による治療対象となります。

リハビリテーション室長 見田忠幸