リハビリ通信 No.320 半月板の構造と円板状半月について
2020年08月08日(土) QAリハビリテーション科1新着情報
参考文献:膝MRIより
半月板の役割は大腿骨の接合部の安定性と荷重分散、衝撃吸収、関節軟骨の保護です。 半月板は内側半月板と外側半月板があり、内側半月板はC型をしていて、外側半月板はO型に近い形をしています。外側半月板の幅は前方から後方にかけて一定ですが、内側半月板は前方に比べ後方の幅も広く、高さも高いようです。内側半月板の辺縁部は内側側副靭帯(MCL)深層と関節包へ比較的強固に結合し、後方辺縁部では半膜様筋腱と内側半月板が線維結合し膝関節屈曲時に大腿骨と半月板の引っかかり(インピンジメント)が起きないように半膜様筋腱が働き、内側半月板を後方に引っ張る作用が起きます。反対に外側半月板では関節包への結合が弱く背側部の膝窩筋腱溝部ではわずかな線維で関節包に支持されています。膝関節の屈曲・伸展に伴う半月板の動きは内側に比較して極めて大きいようです。外側半月板も内側半月板と同じく動的安定機能があります。膝窩筋が収縮することにより外側半月板が後方に引き出され大腿骨と半月板のインピンジメントを防止しています。 半月板の疾患で円板状半月(discoid meniscus)があります。東アジアに多いと言われています。胎生期の半月板形成過程でC字型の中央部が吸収されずに遺残し円板状を呈します。円板状半月は圧倒的に外側半月板に多く、正常な半月板に比べて変性や断裂の頻度が高く、軽微な外力で損傷をします。小児の誘因の無い膝痛で発見される事が多いようです。その他に膝関節の可動域制限、膝が外れるような脱臼感、引っかかりが起きるロッキング現象が生じます。また、手術になった場合、正常な半月板に形成する切除術を関節鏡視下で行います。理学療法の治療では膝関節の機能を考え半月板の動きを筋の収縮を促すことで引き出し可動域制限、疼痛など膝関節の機能を改善します。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |