リハビリ通信 No.247 肩関節周囲炎に続発する肩甲帯障害について
2018年01月02日(火) QAリハビリテーション科1新着情報
五十肩とも呼ばれる肩関節周囲炎の病態の一つに「拘縮」というものがあります。これは関節が固まってしまい、関節可動域に制限が生じてしまう状態をさします。その中でも下図にあるように、①の部位で炎症が生じることによって肩関節の上方支持組織が②のように遠位滑走できなくなり、その結果③のように上腕骨を体側に寄せることができない「外転拘縮」を呈することが多いです。 この外転拘縮が生じると、③の動きができないために肩甲骨を下げることによって腕を体側に寄せるようになります。そうすると、肩甲骨と頸部を結ぶ筋肉、肩甲骨と胸椎を結ぶ筋肉は持続的に牽引されることとなり、肩こりや肩甲骨周囲筋の痛みなどが生じてきます。 症状が出てくる場所が肩甲骨周囲なので原因もその辺りにあるのではないかと思いがちなのですが、このようなケースでは元の原因が①の部分での炎症であり、その結果として③の動きが出来なくなったことが原因となるので、治療は肩甲骨周囲ではなく、②の運動を獲得する事であると考えます。 当院では、理学療法を行う上で原因を探る「評価」をしっかり行い、治療結果につなげられるよう努めています。 リハビリテーション科 小野正博 |