骨粗鬆症とともに Vol.11 骨折にかかる医療費の現状
2017年10月27日(金) 新着情報1骨粗鬆症
平成25年の国民医療費の概況によると、国民医療費は年間40兆610億円とされており、そのうち医科医療費は28兆7447億となっています。医科医療費の疾患別内訳で筋骨格系及び結合組織の疾患は3番目に多く、2兆2422億円、10番目には骨折が多く、その医療費は1兆1313億円だそうです。骨折にかかる医療費1兆1313億円の55.9%に当たる6329億円は65歳以上の女性が支出しているそうで、高齢女性の骨折予防が重要であることを示唆するデータとなっています。 大腿骨近位部骨折の発生推移は1987年から一貫して増加傾向であり、2012年は過去最高となっています。大腿骨近位部骨折1件あたりの治療費は約150万円かかると言われており、年間約18万件の発生とすると2700億円の医療費支出ということになります。急性期治療後の介護費用にもひとりあたり年間約150万円程度かかるとされており、大腿骨近位部骨折発生後の医療介護費は、ひとり平均年間約300万円かかることになります。大腿骨近位部骨折を起こすと反対側の骨折を起こすリスクが4倍以上に高まるとも言われており、骨折の連鎖は更なる医療、介護費の支出につながると言えます。 日本の骨粗鬆症治療率は約25%程度とされており、先進諸国の中では低い現状があります。医療費削減の視点からも、骨折を予防するための治療や取り組みが重要であると言えます。 骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 日本骨粗鬆症学会誌 Vol.2 No.4 2016 |