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骨粗鬆症とともに Vol.6 骨折リスク評価ツール FRAX

2017年05月28日(日) 新着情報1骨粗鬆症

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骨折評価ツール FRAX(Fracture Risk Assessment Tool)は、世界保健機関(WHO)の研究グループが発表した、今後10年間の骨折確率を算出してくれる計算ツールです。世界の地域で収集された疫学データから代表的な骨折の危険因子を決定し、これらの危険因子の有無により推定される骨折確率を算出します。膨大なデータの基に確立されたツールのため信頼度は高いと言われています。インターネットから誰でも利用可能で、WHOのFRAXのホームページから入力するだけで算出できます。

実際の危険因子は、年齢、性別、身長、体重、骨折歴、両親の大腿骨近位部骨折歴、現在の喫煙、アルコール摂取(1日3単位以上)、ステロイドの内服(3ヵ月以上)、関節リウマチの罹患、骨粗鬆症になりやすい疾患の有無です。これらの項目を入力するだけでも骨折の確率が算出できますが、大腿骨頸部の骨密度がわかるとさらに正確な確率が算出できます。質問に答えて[計算]の画面をクリックすると、主要な骨粗鬆症骨折の確率と大腿骨近位部骨折の確率が出てきます。主要な骨粗鬆症骨折の確率が15%以上の場合は医療機関への受診が望ましいとされています。

平成25年のデータによると、入院・入院外医療費の支出は28兆7,447億円とされており、そのうち整形外科に関する支出は3番目に多い2兆2,422億円とされています。その額の50,5%である1兆1313億円が骨折の医療費となっています。さらにその額の55,9%に当たる6,329億円が65歳以上の女性が消費しているとされており、高齢者の骨折予防が重要であることを示唆するデータとなっています。しかし日本の骨粗鬆症治療率は20~25%程度となっており、世界諸国に比較すると低い現状となっています。FRAXが地域の検診や医療機関でさらに活用されていくことで骨粗鬆症治療率の向上、骨折の予防から医療費節減にも繋がると言われています。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版、骨粗鬆症治療の予防と治療ガイドライン作成委員会編集、ライフサイエンス社 2015

日本骨粗鬆症学会誌Vol.2 No4 日本骨粗鬆症学会 2016