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リハビリ通信 No.66 筋力トレーニングについて

2013年04月14日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

筋力をアップさせるためには、筋力トレーニングを行うことが推奨されています。しかし、筋力トレーニングの効果を発揮するためには、その前にやるべきことがあると個人的には考えています。なぜなら、筋力がアップするためには、筋が働きやすい環境を整えることが重要となるからです。

例えば、筋出力を十分に発揮するためには、筋が十分に収縮できる条件が必要となります。効率良く筋が収縮するためには、筋の滑走性、筋緊張のバランス、他の筋との協調性など様々な要素が影響し合っています。また、身体は構造が変われば強度が変わります。つまり、姿勢や各関節の位置関係が変われば、発揮される筋出力、筋緊張、筋の協調性も変化します。

具体的には、筋の強さや太さそのものは変わらなくても、関節の可動域や位置関係を改善したり、筋緊張のバランスや筋の滑走性を改善したりすることで、筋出力はアップして楽に動作が行えるようになります。

もちろん、絶対的な筋肉の強さや太さは必要です。しかし、運動器疾患において痛みを生じている際は、過度な負荷を加えた筋力トレーニングが関節に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、実際に日常生活で筋力を発揮するときは、常に自分の最大筋力を発揮しているわけではなく、余裕のある筋活動で動作が行われていることが報告されています。つまり、最大収縮する出力よりも、それぞれの筋がバランス良く協調的に働くことで、動作に応じた出力を発揮させることが重要となります。そのためには、動作に必要な筋が働きやすい状態にあることが必要となります。

筋力トレーニングを行う際は、まず鍛えたい筋がしっかりと収縮できる筋の柔軟性と関節の可動域が十分にある環境を整えることが大切です。そのうえで、筋力トレーニングを行うことで、より効率良く筋力アップを図ることができると考えています。

リハビリテーション科 奥山智啓