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リハビリ通信 No.52 関節が硬くなる要因 -皮膚-

2012年12月24日(月) QAリハビリテーション科1新着情報

関節が硬くなる重要な要因に、皮膚・筋・靭帯・関節包などの軟部組織の問題があります。今回はその中でも皮膚による問題について紹介させていただきます。

皮膚は関節の運動に伴って伸張したり滑走したりして、部位によっては動きに応じて大きく形を変えています。例えば、肘の裏側の皮膚をつまんで肘関節を屈曲すると、関節は曲がりにくくなります。これは、肘関節を曲げるときに本来伸びなくてはならない皮膚が伸びないために生じる現象です。このように、皮膚の動くゆとりが無くなると、関節の動きに影響を及ぼします。

臨床においては、外傷や手術により皮膚が損傷を受けた場合に、損傷を受けた皮膚は修復とともに周囲の軟部組織と癒着したり瘢痕組織を形成したりします。それにより、皮膚に伸びたり滑ったりするゆとりが無くなり、関節の可動域が制限される要因の一つとなる可能性があります。

そのため、外傷や手術により皮膚に大きな損傷を生じた場合は、癒着や過度な瘢痕形成を予防するため、適切な時期に皮膚の伸びや滑りを維持することが重要となります。ただし、皮膚は身体の中で最も受容器が多い組織であり、損傷後に早期から強い刺激を入れ過ぎると、疼痛を引き起こしたり、ケロイドを形成したりする可能性があるため、適切な刺激が加わるように配慮が必要となります。

リハビリテーション科 奥山智啓